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平成26年版 犯罪白書 第6編/第2章/第7節/3

3 高齢者

高齢者の窃盗による検挙人員は,平成25年は6年に比べ約4.5倍となり(4-5-1-4図<3>P185参照),高齢者人口の増加をはるかに上回る勢いで増加しており(6-2-2-2図<2>P222参照),窃盗の検挙人員に占める高齢者の割合も25年は6年に比べ約5.4倍にまで上昇した(6-2-1-2図<1>P210参照)。一般刑法犯の検挙人員に占める窃盗の割合も,高齢者(25年は73.7%)は全年齢層における割合(同52.9%)と比べて顕著に高い(4-5-1-3図P185参照)。高齢者の窃盗の検挙人員の中では万引きが約8割を占めており(6-2-1-8図P216参照),万引きの検挙人員における高齢者の割合は,25年は6年に比べ約3.7倍となり,23年以降は高齢者の割合が最も高い(6-2-1-7図<2>P215参照)。

窃盗の高齢者の起訴人員も,男女共に大きく増加しており,平成25年は6年に比べ男子は約8倍,女子は約44倍となった(6-2-3-4図P228参照。なお,女子高齢者特有の傾向については本節4項(2)P252参照)。窃盗の起訴人員に占める高齢者の割合も,男女共に大きく上昇しており,25年は6年に比べ男子は約7.4倍,女子は約9.5倍となった。もっとも,男子の起訴人員に占める高齢者の割合は,25年では約1割にとどまり,成人の中では最も低い(同図参照)。また,高齢者の窃盗事犯者は,起訴人員だけでなく,起訴猶予人員においても男女共に大きく増加しており(6-2-3-6図P230参照),高齢者の窃盗の起訴猶予率は,他の年齢層と比べて高い(4-5-2-1図P186参照)。

窃盗の保護観察付執行猶予者の保護観察開始人員に占める高齢者の割合は,男女共に上昇傾向にあるが,その割合は,平成25年では,男子が他の年齢層と比べて低いのに対し,女子は最も高い(6-2-6-4図<2>P245参照)。他方,窃盗の入所受刑者に占める高齢者の割合は,初入者,再入者共に上昇傾向にあり,その割合は再入者の方が初入者よりも高いが,初入者における高齢者の割合は,男女共に,再入者における割合と比べても大きく上昇している(6-2-5-3図P234参照)。また,高齢者の割合は,初入者,再入者共に,女子の方が男子よりも高く,それぞれ約3割を占めている(同図参照)。入所度数別に見ると,男子の高齢者は2度以上の窃盗事犯者が約8割を占めているのに対し,女子の高齢者は初入者が約半数を占めている(6-2-5-4図P235参照)。

生活環境について見ると,犯行時の就労状況では,平成25年における高齢者の窃盗の入所受刑者は,初入者,再入者共に,男女を問わず,「無職」であった者が約9割を占めており,他の年齢層と比べても「無職」であった者の割合が高い(6-2-5-6図P236参照)。もっとも,窃盗の検挙人員における年金等生活者の割合が大きく上昇していることも併せ考慮すると(6-2-1-4図P211参照),前記の「無職」であった者の中には年金等生活者も相当程度含まれているものと推察される。同年の保護観察開始時における居住状況では,高齢者の窃盗事犯者は,保護観察付執行猶予者の場合には単身居住の割合(41.6%)が他の年齢層と比べても最も高いが,仮釈放者の場合には更生保護施設の割合(45.6%)が最も高い(6-2-6-5図<1><2>P246参照)。

再犯状況について見ると,窃盗による出所受刑者の2年以内累積再入率は,仮釈放者では,高齢者は50歳未満の年齢層と比べて一貫して高く,満期釈放者においても,おおむね高齢者の方が50歳未満の年齢層よりも高い傾向にある(6-2-5-12図P239参照)。