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平成26年版 犯罪白書 第6編/第2章/第3節/2

2 起訴

窃盗の起訴人員について,処理区分別の人員及び公判請求率等の推移(最近20年間)を見ると,6-2-3-3図のとおりである。起訴人員は,平成9年から16年まで増加し続け,15年から23年までは毎年4万人を超える状況が続いていた。22年からは減少しており,25年は3万5,279人(前年比7.7%減)であったが,6年(2万7,879人)と比べると,約1.3倍である。公判請求率は,15年までは5割台で推移していたが,16年から大きく低下し,罰金刑が導入された18年以降は3割台で推移している。略式命令請求人員は,罰金刑の導入後,23年まで増加し続けていたが,24年からは漸減している。略式命令請求率(起訴・不起訴人員に占める略式命令請求人員の比率をいう。)は,23年以降8%台である。

6-2-3-3図 窃盗 起訴人員・公判請求率等の推移
6-2-3-3図 窃盗 起訴人員・公判請求率等の推移
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6-2-3-4図は,窃盗の起訴人員について,年齢層別の人員等の推移(最近20年間)を男女別に見たものである。男子の起訴人員は平成16年をピークに減少傾向にあるのに対し,女子の起訴人員は同年以降も大幅に増加し,19年からは6,000人台で推移している。25年の女子の起訴人員は,6,314人(前年比5.8%減)であって,6年の約4.7倍であり,罰金刑導入前の17年(3,822人)と比べると約1.7倍であった。起訴人員の女子比は,16年以降上昇し続けており,25年は6年の約3.7倍となった。

年齢層別では,男女共に高年齢化の傾向にあり,平成25年の高齢者の起訴人員の総数は6年の約11.4倍となった。とりわけ女子は,起訴人員の高年齢化が顕著であり,23年以降は女子の起訴人員の過半数を50歳以上の者で占めている。高齢者の起訴人員も,女子は顕著に増加しており,25年は1,860人(前年比4.8%増)であって,6年の約44倍であり,罰金刑導入前の17年(404人)と比べると約4.6倍となった。これに対し,若年者の起訴人員は,20年以降では男女共に減少傾向にあり,25年は,男子は7,747人(前年比9.8%減)であり,女子は703人(前年比11.7%減)であった。もっとも,男子の起訴人員では,若年者が最も高い割合(26.8%)を占めている。

6-2-3-4図 窃盗 年齢層別の起訴人員等の推移(男女別)
6-2-3-4図 窃盗 年齢層別の起訴人員等の推移(男女別)
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6-2-3-5図は,窃盗の起訴人員について,初犯者・有前科者(前に罰金以上の刑に処せられたことの有無による。)の人員等の推移(最近20年間)を男女別に見たものである。

有前科者率(起訴人員に占める有前科者の人員の比率をいう。)は,男女共に平成20年から上昇傾向にある。男子の有前科者率は,23年以降60%以上であり,25年は61.8%(前年比1.1pt上昇)であった。女子は,男子と比べると,初犯者の占める割合が依然として高いものの,有前科者率は20年からほぼ一貫して上昇している。とりわけ,女子の起訴人員に占める有罰金前科者(有前科者のうち前科が罰金のみである者をいう。)の人員の比率(有罰金前科者率)が大きく上昇しており,25年は22.9%であり,罰金刑導入前の17年(3.4%)と比べて約6.7倍であった。

6-2-3-5図 窃盗 起訴人員中の初犯者・有前科者の人員等の推移(男女別)
6-2-3-5図 窃盗 起訴人員中の初犯者・有前科者の人員等の推移(男女別)
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