窃盗の認知件数は,平成8年から14年まで戦後最多を記録し続け,同年には237万7,488件に達したが,15年からは一貫して減少し,25年は98万1,233件(前年比7.4%減)であり,昭和48年以来40年ぶりに100万件を下回った。一般刑法犯の認知件数に占める窃盗の割合は,平成25年は74.6%であり,14年(83.3%)と比べて8.7pt低下しているが,依然として高い割合を占めている(1-1-1-1図CD-ROM及び第1編第1章第2節1項P8参照。なお,刑法犯の認知件数に占める窃盗の割合については,1-1-1-3図P5参照)。
窃盗の発生率は,平成14年(1,864.9)をピークに低下し続けており,23年(901.6)には14年の半分以下となり,25年は770.8(前年比59.9pt低下)であった(1-1-1-1図CD-ROM参照)。
窃盗の検挙件数は,平成17年から減少し続けており,25年は25万4,822件(前年比11.1%減)であった(1-1-2-1図P8参照)。検挙率は,13年に戦後最低の15.7%を記録した後,上昇に転じ,18年からは26〜27%台で推移しており,25年は26.0%(前年比1.1pt低下)であった(1-1-1-1図CD-ROM参照)。
窃盗の検挙人員は,例年,一般刑法犯の検挙人員の罪名別構成比において最も高く,特に女子は男子に比べて顕著に高い(1-1-1-8表CD-ROM参照。なお,刑法犯の検挙人員の罪名別構成比における窃盗の割合については,1-1-1-5図P6参照)。
窃盗の検挙人員(総数・女子)及び女子比の推移(最近20年間)を見ると,6-2-1-1図のとおりである。平成25年の窃盗の検挙人員は,戦後最も少なく,13万8,947人であった。女子の検挙人員は,17年(6万462人)をピークに翌年から減少傾向にあり,25年は4万2,873人(前年比8.9%減)であった。検挙人員の女子比は,16年以降3割台で推移しており,おおむね横ばいである。20年間では,女子の窃盗の検挙人員は,6年と比較して同数程度であるが,男子の検挙人員の減少が著しく(6年比21.6%減),女子比は6年と比較して5.1pt上昇している。
窃盗の検挙人員について,犯行時の年齢層別構成比(総数・女子)の推移(最近20年間)を見ると,6-2-1-2図のとおりである。
全般的に高年齢化が進んでおり,総数では,高齢者の割合が平成6年は4.6%(7,548人)であったが,25年は24.5%(3万4,060人)であり,20年間で約5倍に上昇した。とりわけ女子は,24年以降,窃盗の検挙人員の約半数を50歳以上の者で占めており,高齢者の割合は,3割を超え,25年は6年と比べて約4.6倍に上昇した(高齢者の窃盗の検挙人員の推移については,4-5-1-4図<3>P185参照)。
窃盗の検挙人員のうち少年の占める割合は,平成11年までは5割以上で推移していたが,その後は低下傾向にあり,25年は24.0%(前年比1.1pt低下)であった。6年と比較すると,少年の窃盗の検挙人員は約6割減少しており,少年人口の減少と比較しても大幅に減少している(6-2-2-2図<1>P222参照)。もっとも,少年及び若年者(20歳以上29歳以下の者をいう。以下この章において同じ。)の検挙人員の総数は,検挙人員の4割近くを占めており,依然として少なくない。
6-2-1-3図は,少年(触法少年を含む。)による窃盗の検挙人員及び人口比の推移(最近20年間)について,犯行時の年齢層別に見たものである。人口比は,いずれの年齢層も低下傾向にあるが,年少少年の人口比は,他の年齢層に比べて高い。
窃盗の検挙人員について,犯行時の職業別構成比の推移(最近20年間)を見ると,6-2-1-4図のとおりである。学生・生徒等(中学生,高校生,大学生及び専修学校生等をいう。以下この章において同じ。)の占める割合は,平成13年までは4割台で推移していたが,その後は大きく低下し,25年は20.7%と6年と比べ半減した。これに対し,年金等生活者(無職者のうち,年金,雇用保険,利子,配当,家賃等の収入による生活者をいう。以下この章において同じ。)の占める割合は,統計数値のある8年以降上昇傾向にあり,25年は14.5%と8年(2.2%)の6倍以上であった。検挙人員における高齢者の増加が影響しているものと考えられる。