6-2-5-1図は,窃盗の入所受刑者の男女別の人員及び女子比の推移(最近20年間)を見たものである。窃盗の入所受刑者人員は,平成18年をピークに減少傾向にあり,25年は7,557人であった。女子の人員は,12年以降,おおむね増加傾向が続いていたが,25年は減少し,884人(前年比3.7%減)であった。同年の窃盗の入所受刑者の女子比は,11.7%であり,窃盗を含む全入所受刑者(以下この項において「全入所受刑者」という。)の女子比(9.3%)と比べて高い(2-4-1-3図P62参照)。
6-2-5-2図は,全入所受刑者に占める窃盗の構成比(総数・女子)の推移(最近20年間)を見たものである。平成25年の全入所受刑者に占める窃盗の構成比は,6年と比べると総数,女子共に上昇しているが,女子において,その傾向が顕著であり,25年の窃盗の構成比は,6年と比べると約1.9倍となっている。
6-2-5-3図は,窃盗の入所受刑者について,年齢層別構成比の推移(最近10年間)を初入者・再入者別,男女別に見たものである。平成25年の窃盗の高齢者の構成比は,全入所受刑者と比較して,男子では5.4pt,女子では15.7pt高い(CD-ROM参照。2-4-1-5図P63参照)。また男女共に高齢者の比率は上昇傾向にある。同年における高齢者の比率は,男女共に再入者の方が初入者よりも高いが,女子の初入者においては,高齢者の比率の上昇傾向が顕著であり,25年は16年と比べると約4.6倍にまで上昇し,25年の女子高齢者の初入者の人員は16年の約5.5倍となっている(CD-ROM参照)。これに対し,男子の初入者は,29歳以下の者の割合が,やや低下傾向にはあるものの,依然として最も高い。
6-2-5-4図は,平成25年の窃盗の入所受刑者について,入所度数別構成比を男女別に見るとともに,これを年齢層別に見たものである。窃盗の2度以上の入所度数の構成比は,同年の全入所受刑者と比較して,男子で5.6pt,女子で6.7pt高い(4-1-3-2図P147参照)。また,年齢層別に見ると,男子は,年齢層が高くなるに従って,入所度数が2度以上の者の比率が高くなり,男子高齢者では約8割を占めている。これに対し,女子は,同様の傾向が見られず,各年齢層で入所度数が1度の者(初入者)の比率が最も高く,高齢者においても初入者が約半数を占めている。最近10年間では,初入者の割合が,男女共に高齢者を除く各年齢層において低下傾向にあるが,高齢者では,男子はおおむね1割台後半で,女子はおおむね4割台後半でそれぞれ推移している(CD-ROM参照)。
6-2-5-5図は,平成25年の窃盗の入所受刑者について,婚姻状況別構成比を初入者・再入者別,男女別に見たものである。配偶者を有している者の比率(以下この項において「有配偶者率」という。)は,男女共に,一般成人の有配偶者率(男子66.4%,女子60.8%,総務省統計局の「労働力調査」による25年の数値)に比べて低い。男子は,初入者,再入者共に,未婚の者が過半数を占めている。女子は,初入者,再入者共に,男子に比べて有配偶者率が高く,初入者で4割近く,再入者で約3割が配偶者を有している。女子の有配偶者率は,最近10年間においても,初入者,再入者共に,3割台から4割台で推移しているが,女子の再入者では低下傾向にある(CD-ROM参照)。
6-2-5-6図は,平成25年の窃盗の入所受刑者について,就労状況別構成比を,初入者・再入者別,男女別に見るとともに,これを年齢層別に見たものである。男子は,初入者,再入者共に,年齢層が高くなるに従って有職の比率が低くなる傾向がある。女子は,65歳以上の再入者を除いた全ての初入者と再入者の年齢層で,男子に比べて有職の比率が低い。
6-2-5-7図は,平成25年における窃盗の入所受刑者の執行猶予歴の有無別構成比を男女別に,窃盗以外の罪名との比較で見たものである。窃盗は,窃盗以外の罪名と比べて,執行猶予歴のある者の構成比が高く,その傾向は女子において顕著である。また,男女共に,窃盗は,窃盗以外の罪名と比べて,保護観察付執行猶予歴のある者の比率が高い。最近10年間で見ると,窃盗は,単純執行猶予歴のある者の割合では,男女共に上昇傾向にあり,25年は16年に比べ,男子は9.8pt,女子は16.3pt上昇したが,保護観察付執行猶予歴のある者の割合は,男子は2割台前半で,女子はおおむね2割台後半でそれぞれ推移している。また,女子高齢者は,執行猶予期間中の再犯により入所する窃盗の受刑者の人員が,最近10年間で6倍に増加した(CD-ROM参照)。
6-2-5-8図は,平成25年における窃盗による再入者に占める同一罪名再入者(再入者のうち,前回の罪名と今回の受刑の罪名が窃盗である者をいう。以下「窃盗再入者」という。)の比率を男女別に見たものである。女子は,男子と比べて窃盗再入者の割合が高い。最近10年間で見ると,窃盗再入者の割合は,男女共に上昇傾向にあり,とりわけ女子は,25年は16年に比べて8.5pt上昇した(男子は2.9pt上昇。CD-ROM参照)。
6-2-5-9図は,平成25年における窃盗再入者の再犯期間(前刑出所日から再入の受刑に係る罪を犯した日までの期間をいう。以下この章において同じ。)別構成比を男女別に見るとともに,窃盗以外の罪名による再入者(以下「窃盗以外の再入者」という。)との比較で見たものである。窃盗再入者は,窃盗以外の再入者と比べて,男女共に,短期間に再犯に及んでいる者の構成比が高く,男子の約4人に1人,女子の約5人に1人は6月未満で再犯に及んでいる。
6-2-5-10図は,平成23年から25年までの窃盗再入者の前刑帰住先別の再犯期間別構成比を,窃盗以外の再入者との比較で見たものである。帰住先が「その他」であった者は,他の帰住先の者と比べて,いずれも再犯期間が3月未満の者の構成比が高い。帰住先が「その他」であった者について,窃盗再入者の方が,窃盗以外の再入者と比べて再犯期間が3月未満の構成比が高い。
6-2-5-11図は,平成15年から24年の各年の窃盗の出所受刑者の2年以内累積再入率(各年の出所受刑者の人員に占める,出所年を含む2年間に再入所した者の累積人員の比率をいう。以下同じ。)の推移(最近10年間)を総数と出所事由別(満期釈放又は仮釈放の別をいう。以下同じ。)に見たものである。満期釈放は,仮釈放に比べて顕著に高い。また,24年の出所受刑者は,15年の出所受刑者と比べると満期釈放において9.2pt,仮釈放において3.4pt低下しているが,窃盗以外の出所受刑者の2年以内累積再入率と比較して,総数,満期釈放,仮釈放のいずれも高い(CD-ROM参照)。
6-2-5-12図は,平成15年から24年の各年の窃盗の出所受刑者の出所時の年齢層別2年以内累積再入率の推移を,出所事由別に見たものである。29歳以下の者の2年以内累積再入率は,仮釈放者では,他の年齢層より一貫して低く,満期釈放者においても,30歳代を除いた他の年齢層より低い。これに対し,50〜64歳の者及び高齢者は,仮釈放者では,一貫して50歳未満の年齢層より高く,満期釈放者においても,おおむね50歳未満の年齢層より高い傾向にある。
6-2-5-13図は,平成15年から24年の各年の窃盗の出所受刑者の帰住先別2年以内累積再入率の推移を出所事由別に見たものである。満期釈放者では,各年を通して「配偶者」の下に帰住した者が最も低く,仮釈放者では,各年を通して「更生保護施設等」に帰住した者が最も高い。なお,仮釈放者では,各年を通して「その他」の者の2年以内累積再入率が最も低いが,これは入国管理局への身柄の引渡しになっている者の比率が高いためと考えられる。