窃盗について,仮釈放者,保護観察付執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護観察開始人員並びにそれぞれの窃盗率(各保護観察開始人員総数のうち,窃盗事犯者の占める比率をいう。以下この項において同じ。)の推移(最近20年間)を見ると,6-2-6-2図のとおりである。
仮釈放者の保護観察開始人員については,平成17年まで増加傾向にあったが,21年から緩やかな減少傾向にある。保護観察付執行猶予者の保護観察開始人員については,16年まで増加傾向にあったが,その後減少傾向にある。仮釈放者の窃盗率は,同年までは30%前後で推移していたが,17年から35%前後で推移している。保護観察付執行猶予者の窃盗率は,18年のピーク時には40%を超えていたが,19年から低下傾向にある。
女子について見ると,仮釈放者の保護観察開始人員については,平成11年から増加傾向にある。保護観察付執行猶予者の保護観察開始人員については,19年から減少傾向にあったが,24年から増加している。仮釈放者の窃盗率は11年から上昇傾向にある。保護観察付執行猶予者の窃盗率は,17年から22年までは40%台で推移し,23年に30%台に低下したものの,25年に再び40%台に上昇した。
保護観察処分少年及び少年院仮退院者について見ると,保護観察処分少年の保護観察開始人員については,平成16年から減少傾向にある。少年院仮退院者の保護観察開始人員については,19年から緩やかな減少傾向にある。それぞれの窃盗率を見ると,いずれも16年ころから40%前後で推移している。
窃盗について,平成25年における保護観察開始人員の男女別構成比を窃盗以外の罪名との比較で見ると,6-2-6-3図のとおりである。窃盗は,仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,高齢者における女子の割合(女子比)が,それぞれの総数における女子比と比べて顕著に高く,それぞれの窃盗以外の罪名の高齢者における女子比と比較しても顕著に高い。最近10年間においては,総数,高齢者共に,窃盗の仮釈放者では約2倍に,窃盗の保護観察付執行猶予者では約1.6倍にそれぞれ上昇しており,窃盗以外の罪名と比べると,窃盗の女子比は大きく上昇している(CD-ROM参照)。
これに対し,少年院仮退院者では,窃盗の女子比は,窃盗以外の非行と比較して低く,保護観察処分少年における女子比は,窃盗と窃盗以外の非行との間に大きな違いはない。
窃盗について,平成25年における仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の保護観察開始人員の年齢層別構成比を男女別に見ると,6-2-6-4図のとおりである。仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,女子は男子に比べ,若年者の割合が低く,高齢者の割合が顕著に高い。最近10年間では,高齢者の割合が,男女共に,仮釈放者と保護観察付執行猶予者のいずれも上昇傾向にある。特に,女子高齢者の保護観察開始人員を見ると,仮釈放者では約6倍に,保護観察付執行猶予者では2倍に,それぞれ増加している。一方,若年者の割合については,男子の保護観察付執行猶予者では,10年間を通して一貫して最も高いものの,女子については,仮釈放者では,25年は16年の約3分の1,保護観察付執行猶予者では,約2分の1になっている(CD-ROM参照)。
窃盗について,平成25年における保護観察開始人員の居住状況別構成比を年齢層別で見ると,6-2-6-5図のとおりである。仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,高齢者を除き,年齢層が上がるに従って,親族と同居する者の割合が低くなっているが,高齢者はその割合が50〜64歳よりは高い。
仮釈放者では,更生保護施設に居住する者の割合が41.2%と最も高く,窃盗を含む全罪名の仮釈放者の割合(2-5-2-4図P79参照)と比べて,12.7pt高い。一方,親族と同居する者の割合は,窃盗を含む全罪名の仮釈放者と比べて,10.8pt低い。
また,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に,「両親と同居」と「母と同居」の割合が高い。