少年の窃盗による検挙人員は,平成11年以降は減少傾向にあり(6-2-1-3図P211参照),窃盗の検挙人員に占める少年の割合や学生・生徒等の割合も25年は6年に比べ半減している(6-2-1-2図<1>P210,6-2-1-4図P211参照)。しかしながら,窃盗は,25年においても,少年による一般刑法犯の検挙人員の約6割を占めており(3-1-1-6表P107参照),検挙人員の人口比においても,少年(461.1)は高齢者(106.8)の4倍以上と顕著に高い(6-2-2-2図P222参照)。少年の窃盗の検挙人員の中では,万引きが過半数を占めている(6-2-1-8図P216参照)。もっとも,万引きの検挙人員における少年の割合は,14年までは4割台から5割台で推移し,他の年齢層に比べて最も高かったが,その後は低下傾向にあり,25年は6年に比べ半減した(6-2-1-7図<2>P215参照)。万引き以外では,オートバイ盗,自転車盗,ひったくり,自動販売機ねらいの各検挙人員において,少年の割合が高い(本章第1節2項(2)イP215参照)。侵入窃盗の検挙人員における少年の割合は低下している(6-2-1-7図<1>P215参照)。
窃盗の検挙人員における少年の割合の低下に伴い,窃盗の検察庁終局処理人員における家庭裁判所送致の割合も,平成25年は6年に比べ半減しているが(6-2-3-1図P226参照),検察庁終局処理人員の総数における家庭裁判所送致の割合と比べると,依然として高い(2-2-3-1図<1>P48参照)。窃盗による保護観察処分少年の保護観察開始人員は,15年をピークに減少傾向にあるものの,25年の人員(5,166人)は6年の人員(4,708人)より多く,むしろ保護観察処分少年の保護観察開始人員に占める窃盗事犯者の比率は,25年は6年に比べ約1.5倍となっている(6-2-6-2図<3>P243参照)。窃盗による少年院入院者の人員は,25年は6年に比べ3割以上減少しているが(6-2-5-14図P241参照),少年院入院者の中では依然として窃盗事犯者が最も高い割合を占めており,特に男子は,女子に比べて窃盗事犯者の割合が顕著に高い(3-2-4-3図P125,6-2-5-14図P241参照)。窃盗による少年院仮退院者の人員も16年をピークに減少傾向にあるが,25年の人員(1,318人)は6年(1,527人)と比べて1割程度減少したにとどまり,少年院仮退院者に占める窃盗事犯者の比率は依然として4割近くを占めている(6-2-6-2図<3>P243参照)。
以上のとおり,少年の窃盗事犯者は各段階において減少傾向にはあるものの,依然として,窃盗が少年非行の最も代表的な犯罪類型であることに変わりはなく,むしろ保護観察処分少年の保護観察開始人員においては窃盗事犯者の割合が高くなっている。
生活環境について見ると,平成25年における少年の窃盗事犯者の保護観察開始時の居住状況は,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に,両親あるいは母親と同居している少年が大半を占めているが(6-2-6-5図<3>P246参照),窃盗の少年院仮退院者における割合は全非行における割合よりは低い(3-2-5-3図P133参照)。就学・就労状況では,非行時に無職であった少年院入院者の割合は,窃盗は,窃盗以外の非行における割合よりも高いが,最近10年間では低下傾向にあり,むしろ学生・生徒の割合が上昇傾向にある(6-2-5-15図CD-ROM参照)。
再非行状況について見ると,少年の窃盗事犯者は,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に,保護処分の取消しによる保護観察終了人員の割合(6-2-6-6図P247参照)が全非行における割合(3-2-5-5図P136参照)より高く,保護観察終了者の取消・再処分率も,窃盗は他の非行の取消・再処分率よりも一貫して高い(6-2-6-8図<3><4>P249参照)。また,保護観察終了時に無職であった少年の保護処分の取消しによる保護観察終了人員の割合は,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に,有職であった少年と比べて顕著に高く(6-2-6-7図<3><4>P248参照),全非行における割合(3-2-5-6図P137参照)と比べても高い傾向にある。