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平成27年版 犯罪白書 第6編/第5章/第1節/1

1 発生状況及び処理状況

近年の認知件数を見ると,強姦は減少傾向にあるが,強制わいせつは増加傾向にある。平成26年における処遇の各段階での処理状況等を見ると,検挙件数(6-2-1-1図6-2-1-2図参照),検察庁の終局処理人員(6-2-2-1図CD-ROM参照),入所受刑者人員(6-2-4-1図参照),少年院入院者人員(6-2-4-12図参照),保護観察開始人員(6-2-5-3図参照)において,それぞれ,強制わいせつが強姦を上回っている。特に,強制わいせつの検挙件数,検挙人員は,統計を取り始めた昭和41年以降で最多であった(本編第2章第1節1項(2)参照)。

被害者と被疑者の関係を見ると,強姦,強制わいせつ共に,被害者が「親族」及び「面識あり」の割合が上昇傾向にある(6-2-1-12図参照)。また,被害者の年齢層を見ると,強姦,強制わいせつ共に,一貫して未成年者や20〜29歳の者の割合が高い(6-2-1-13図参照)。特に13歳未満の被害者数では,平成26年は7年と比べて,強姦の被害者,強制わいせつの男子の被害者で, それぞれ増加している(同図CD-ROM参照)。

平成26年の強姦,強制わいせつの科刑状況を見ると,執行猶予率は,通常第一審における終局処理人員総数と比べて,強姦では低く(2-3-2-1表6-2-3-1図CD-ROM参照),強制わいせつでは高い(2-3-2-1表6-2-3-2図CD-ROM参照)。刑期が5年を超える者の人員について,26年は7年と比べて,強姦では約3.4倍に,強制わいせつでは5倍に,それぞれ増加している(6-2-3-1図CD-ROM,6-2-3-2図CD-ROM参照)。

強姦,強制わいせつ共に,平成26年の仮釈放率は,出所受刑者総数より高い(2-5-1-1図6-2-5-1図参照)ものの,刑の執行率が低い段階で仮釈放が許される者の占める割合は,有期刑の仮釈放許可決定人員の総数と比べて低い(6-2-5-2図参照)。

平成26年の保護観察開始人員における執行猶予者の保護観察率は,執行猶予者総数(10.0%)と比べて,強姦では20.3pt,強制わいせつでは14.8pt高い(2-5-2-1図6-2-5-3図参照)。

強姦,強制わいせつの者の一般的な特徴は次のとおりである。まず,検挙人員の年齢層を見ると,強姦,強制わいせつ共に,少年の割合は,昭和60年ではそれぞれ30%台と他の年齢層と比べて最も高かったが,平成26年にはそれぞれ10%台まで低下している(6-2-1-7図参照)。もっとも,少年による強姦の検挙人員は,19年以降おおむね横ばいであり,強制わいせつの検挙人員は,19年から増加傾向である(6-2-1-8図参照)。一方で,20〜29歳及び30〜39歳の者の割合は,一貫して約5割から6割を占め,更に近年の検挙人員における高年齢化は,強姦,強制わいせつにおいても見られる(1-1-1-6図6-2-1-7図参照)。

入所受刑者の犯行時の生活環境及び居住状況を見ると,強姦,強制わいせつ共に,入所受刑者総数と比べて,有職者の割合は高く,住居不定の者の割合は低い(6-2-4-4図6-2-4-6図参照)。さらに,強姦,強制わいせつ共に,入所受刑者総数と比べて,未婚の者の割合は高く,高校卒業以上の学歴を有する者の割合についても,同様に高い(6-2-4-5図6-2-4-7図参照)。

強姦,強制わいせつの出所受刑者の帰住先を見ると,仮釈放者,満期釈放者共に,出所受刑者総数と比べて「父・母」のもとに帰住する者の割合が高い。もっとも,強姦,強制わいせつ共に,満期釈放者の約4割が,適当な帰住先がない「その他」であった(6-2-4-9図参照)。