強姦の再犯者率は,おおむね横ばいであり,一般刑法犯の再犯者率より高い(4-1-1-1図,6-2-6-1図<1>参照)。強制わいせつの再犯者率は上昇傾向にあり,平成23年までは一般刑法犯の再犯者率より高く,その後はほぼ同程度である(4-1-1-1図,6-2-6-1図<2>参照)。さらに,強姦,強制わいせつの成人の検挙人員に占める有前科者率は,一般刑法犯の有前科者率よりおおむね高い(4-1-1-2図,6-2-6-2図参照)。
一方,最近20年間の再入者率を見ると,強姦,強制わいせつ共に低下し,平成26年の再入者率は,強姦では14.9%,強制わいせつでは29.8%と,入所受刑者総数の再入者率(59.3%)と比べると顕著に低い(4-1-3-1図<1>, 6-2-6-3図参照)。再入者率の低下は,強姦では,総数が減少している中で,再入者の減少幅が初入者の減少幅より大きく,強制わいせつでは,総数が増加している中で, 初入者の増加幅が再入者の増加幅より大きいことによる(同図CD-ROM参照)。
強姦,強制わいせつの同一・同種罪名再入者の割合は,強姦で35.0%,強制わいせつで45.5%であり,窃盗や覚せい剤取締法違反ほど高くないものの,殺人や強盗より高い(6-2-6-4図参照)。
強姦,強制わいせつ共に,出所受刑者総数と比べると,満期釈放者及び仮釈放者のいずれにおいても,5年以内累積再入率及び10年以内累積再入率は低い(4-1-3-4図,6-2-6-9図参照)。また,再入者の再犯期間を見ると,強姦は,再入者総数と比べると,2年未満で再犯に及ぶ者の割合が低く,5年以上で再犯に及ぶ者の割合が高い。特に29歳以下の者で,その傾向が見られる。一方,強制わいせつは,再入者総数の再犯期間と同様の傾向で,2年未満で再犯に及ぶ者の割合が高い(6-2-6-6図参照)。また,再入者の帰住先別の再犯期間を見ると,強姦,強制わいせつ共に,「親族等」の者と比べて,「その他」の者には再犯期間が短い者の割合が高い。特に,強制わいせつにおいて,再犯期間が6か月未満の者の割合に,「親族等」と「その他」では21.1ptの開きがある(6-2-6-7図参照)。
強姦,強制わいせつ共に,保護観察終了時に無職であった者は,有職であった者と比べて,取消・再処分率は高い(6-2-5-8図参照)。