不良交友は,非行少年・若年犯罪者に広く見られる問題性であり,多くの犯罪の主要なリスク要因の一つとなっている。
不良交友問題が非行や犯罪の発生に大きく関わっていることは,少年非行の共犯率の高さ(7-2-1-1-12図)や,特別調査における窃盗や粗暴犯における共犯率の高さ(7-3-2-8図,7-3-2-9図)からもうかがえる。また,特別調査では,本件少年院出院後の問題行動で不良交友の問題を有する者が最も多く(7-3-3-3-6図),不良交友問題は薬物使用,粗暴行為,借金等他の問題行動と重複する傾向もあり(7-3-3-3-7図),不良交友の相手方は,本件入院前から交友関係があった者が多いが,その後に新たに交友が始まった者も相当数に及ぶこと(7-3-3-3-9図)などが明らかとなった。
また,意識調査によると,非行少年・若年犯罪者では,友人との建設的な関わりが少なく,表面的な交友関係にとどまっており,一般青少年より家庭生活に対する満足度が低く(7-4-2-5図),学校生活においては,少年院送致歴を有している者の方が保護処分歴のない者よりも対人的な疎外感を体験していること(7-4-2-6図)などの傾向が見られた。
不良交友からの離脱を図るためには,就労や就学を基盤とする健全な生活を送って不良交友に関わる機会を減らすように指導する一方で,孤立を防ぐための居場所作り等の支援が不可欠である。また,非行や犯罪を繰り返す者では,対人関係が不良交友に限られてしまい,地域社会の中で健全な社会化のモデルを見出す機会が限られていることから,社会参加活動や社会貢献活動(第3編第1章第5節,本編第5章4項参照)等を通じて様々な対人的関わりを体験させ,地域社会における自己有用感を伸長させつつ,社会人として望ましい態度を内在化させ,併せて,生活基盤たる学校・職場等での新たな人間関係の構築を図らせるなどし,不良交友に代わる建設的な人間関係や対人的サポートのネットワークを広げていくような支援の充実化が望まれる。