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6 学校生活に対する意識

7-4-2-6図は,非行少年・若年犯罪者が直近で所属していた学校の生活に対する意識を見たものである。


7-4-2-6図 学校生活に対する意識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別)
7-4-2-6図 学校生活に対する意識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別)

非行少年の8割を超える者(82.7%)が「勉強が分からない」に肯定的な回答をしており,「学校に行くのがいやだった」という回答も半数近く(46.4%)に及ぶ反面,学校生活で「クラブ活動などうちこめるものがあった」という回答は半数程度(55.4%)にとどまるなど,全般に学校不適応の状態にあったことがうかがえる。また,学校内の対人関係では,「同級生から理解されていた」に対する肯定的な回答が74.4%と多いものの,周囲から「悪く思われていた」に対する肯定的な回答が半数近く(45.5%)に及ぶなど,対人関係にも十分な肯定感を持っていなかった者が多いことがうかがわれる。こうした傾向は,保護処分歴別に見た場合,特に少年院送致歴のある者で非行少年全体と比べ強く見られ,これらの者では学校不適応や校内での対人的疎外感が大きいことがうかがえる。他方,保護処分歴のない者では,学業や校内の対人関係では比較的良好な状態にあったことがうかがえる。

一方,非行少年と比較して,若年犯罪者では,学校の不適応状態を示す「学校に行くのがいやだった」(41.9%),「勉強が分からない」(75.5%)の割合が若干低いものの,対人関係を示す項目では,「先生から理解されていた」(42.9%),「同級生から理解されていた」(60.6%)の割合が低く(「仲間はずれだった」(14.8%),「悪く思われていた」(48.6%)の割合は若干高い。),対人的疎外感を持っていた者の割合が非行少年より高い傾向にあることがうかがわれる。保護処分歴別では,若年犯罪者においても,非行少年と同様に,少年院送致歴のある者で学校不適応,校内での対人的疎外感が大きい傾向がある。なお,若年犯罪者で児童自立支援施設等送致歴を有する者においては,「クラブ活動などうちこめるものがあった」という回答は3分の1程度(33.3%,同送致歴なしの場合は54.5%)にとどまり,学校生活における肯定的体験が不足していたことがうかがわれる。