少年による刑法犯の検挙人員(触法少年の補導人員を含む。特に断らない限り,以下この節において同じ。)及び人口比の推移(昭和21年以降)は,7-2-1-1-1図<1>のとおりである(CD-ROM資料7-1参照)。少年による刑法犯の検挙人員の推移には,昭和26年の16万6,433人をピークとする第一の波,39年の23万8,830人をピークとする第二の波,58年の31万7,438人をピークとする第三の波という三つの大きな波が見られる。59年以降は,平成7年まで減少傾向にあり,その後,若干の増減を経て,16年から毎年減少し続け,22年は12万7,188人(前年比4.1%減)であった。人口比についても,16年から22年まで毎年低下している。22年の検挙人員は,昭和30年前後と同程度の水準であるが,人口比で見ると,第二の波があった39年前後とおおむね同程度の水準にある。
一般刑法犯について,少年と若年者の別に,検挙人員及び人口比の推移(昭和41年以降)を見ると,7-2-1-1-1図<2>のとおりである(成人検挙人員については,CD-ROM参照)。若年者の検挙人員及び人口比は,昭和40年代半ば頃は,少年と同程度の水準にあったが,その頃から平成元年頃まで,いずれも減少・低下し,少年における水準を大きく下回ることとなり,その後,おおむね横ばいとなったが,検挙人員は13年から4年連続で,人口比は12年から7年連続で,それぞれ増加・上昇した後,再び減少・低下傾向にあり,22年は,5万2,125人(前年比4.3%減),370.7(同7.0pt低下)であった。少年の検挙人員及び人口比は,16年から減少・低下傾向にあり,22年は,10万3,627人(前年比4.4%減),870.1(同30.8pt低下)であった。平成の初め頃と比べて,最近では少年と若年者の差が縮小している。
なお,一般刑法犯による触法少年の補導人員は,昭和26年,37年及び56年(6万7,906人)の3回のピークを経て,その後は減少傾向にある。平成11年以降は2万〜2万2,000人台で推移していたが,18年に昭和25年以降初めて2万人を下回り,平成22年は1万7,727人(前年比1.7%減)であった(CD-ROM資料7-4参照)。
ア 年齢層別動向
少年による一般刑法犯の検挙人員及び人口比の推移(昭和41年以降)を年齢層別に見ると,7-2-1-1-2図のとおりである(CD-ROM資料7-2参照)。検挙人員・人口比は,平成16年以降,いずれの年齢層においても,おおむね減少・低下傾向にある。人口比は,昭和59年以降,年少少年,中間少年,年長少年,触法少年の順で高い。
一般刑法犯について,平成22年における検挙人員の年齢層別構成比を見ると,7-2-1-1-3図のとおりである。少年,若年者の構成比は,それぞれ26.8%,16.1%であり,元年(それぞれ52.9%,15.5%。1-1-1-5図参照)と比べると,少年の構成比は,大きく低下しているものの,相対的になお高い割合を占めている。
少年の成長に伴う非行率の変化を知るために,出生年(推計)が昭和48年,54年,60年及び平成3年の者について,12〜19歳の各年齢時における非行少年率(それぞれの年齢の者10万人当たりの一般刑法犯検挙(補導)人員)を見ると,7-2-1-1-4図のとおりである。非行少年率は,昭和60年生まれの者では16歳時に,他の出生年の者は15歳時にピークがあるが,いずれも,年齢が高くなるにつれ大きく低下している。
イ 男女別動向
7-2-1-1-5図は,男女別に犯罪少年(一般刑法犯)の検挙人員及び人口比の推移(昭和41年以降)を見たものである。女子比(検挙人員総数に占める女子の検挙人員の比率)は,昭和51年以降,おおむね18%から25%の間で推移しており,平成22年は20.0%(前年比0.5pt低下)であった。
ウ 就学・就労状況
平成22年における犯罪少年(道路上の交通事故に係る危険運転致死傷を除く一般刑法犯)の検挙人員の就学・就労状況別構成比を見ると,7-2-1-1-6図のとおりである。高校生が最も多く,次いで,中学生,無職少年の順となっている。
ア 罪名別構成比等
一般刑法犯について,平成22年における少年と若年者の検挙人員及び少年比・若年者比を罪名別に見ると,7-2-1-1-7表のとおりである(CD-ROM資料7-3,7-4及び7-5参照)。罪名別では,少年,若年者共に,窃盗の構成比が最も高く,次いで,遺失物等横領が高い(これら2罪名で,少年では全体の80.8%,若年者では全体の65.6%を占める。)。また,少年比が高いのは,住居侵入,恐喝,遺失物等横領,窃盗及び器物損壊であり,若年者比が高いのは,強姦,強盗,詐欺,強制わいせつ及び遺失物等横領であった。
次に,少年と若年者による一般刑法犯の検挙人員の罪名別構成比を,年齢層別に見ると,7-2-1-1-8図のとおりである。いずれの年齢層においても,窃盗の構成比が最も高いが,年齢層が上がるにつれて,その構成比は低下し,また,中間少年以降では,傷害,暴行,詐欺や「その他」の構成比が上昇するなど,犯罪傾向が多様化している。
イ 人口比
7-2-1-1-9図は,一般刑法犯の主要罪名について,少年及び若年者(25歳未満・以上の別)の検挙人員の人口比の推移(平成元年以降)を見たものである。強盗,傷害・暴行及び窃盗は,他の年代に比べて,少年人口比が一貫して高く,次いで,若年者人口比の順となっており,若年者の中でも,25歳未満の者が,25歳以上の者よりも全般的に高い傾向にある。窃盗においては,少年人口比が一貫して突出しており,25歳未満の若年者と比べても際立っている。詐欺は,最近10年間では,25歳未満の若年者の人口比が,他の年代に比べて最も高い。また,最近10年間での人口比の推移を見ると,傷害・暴行における若年者(25歳以上),窃盗における若年者,詐欺における少年及び若年者が上昇傾向にある。
7-2-1-1-10図は,一般刑法犯の主要罪名について,平成22年における検挙人員の人口比を年齢層別に見たものである。人口比が他の罪名に比べて極めて高い窃盗は,年少少年検挙人員の人口比が1057.8と顕著に高いが,これが,年長少年では347.8にまで大きく低下し,若年者でも更に低下している。傷害・暴行についても,年少少年検挙人員の人口比が130.4と,他の年齢層に比べて高い。
ウ 窃盗の手口
窃盗について,平成22年における検挙人員の手口別構成比を年少少年,中間少年,年長少年及び若年者(25歳未満・以上の別)の別に見ると,7-2-1-1-11図のとおりである。いずれの年齢層においても,非侵入窃盗の構成比が高く,中でも,万引きの構成比が特に高いが,年齢層が上がるに従い,万引き以外の手口の構成比が上昇して手口が多様化し,さらに,侵入窃盗の構成比が上昇する一方で,乗り物盗(特に自転車盗及びオートバイ盗)の構成比が低下しており,より悪質な手口によるものが増えている。
7-2-1-1-12図<1>は,平成22年における一般刑法犯(道路上の交通事故に係る危険運転致死傷を除く。)の主要な罪名について,少年検挙事件(捜査の結果,犯罪が成立しないこと又は訴訟条件・処罰条件を欠くことが確認された事件を除く。)の共犯の状況を見たもの,7-2-1-1-12図<2>は,主要な罪名について,少年検挙事件の共犯率(検挙件数に占める共犯による事件数(少年と成人の共犯による事件を含む。)の比率)の推移(平成元年以降)を見たものである。22年の共犯率を罪名別に見ると,強盗(59.5%),詐欺(39.3%),窃盗(32.6%)の順に高いが,強盗及び詐欺では,少年と成人の共犯による事件の構成比が他の罪名に比べて高く,成人の影響を受けた事件が多いことがうかがわれる。少年の共犯率の推移を見ると,強盗は,おおむね60%から80%の間の高い水準で上昇・低下を繰り返している。傷害及び暴行は,低下傾向にあり,22年は,それぞれ31.3%(元年は51.7%),17.2%(同40.6%)であった。