覚醒剤取締法違反の入所受刑者人員のうち,初入者及び再入者の人員並びに再入者率(第5編第2章第3節1項参照)の推移(最近20年間)を男女別に見るとともに,再入者について更に年齢層別に見ると,7-4-3-5図のとおりである。最近20年間における再入者率は,男女共に上昇傾向にあり,令和元年は,男性76.1%,女性59.3%と入所受刑者全体の再入者率(58.3%。5-2-3-1図参照)と比べて高い。また,再入者のうち40~64歳の占める割合は,平成12年は男性50.1%,女性39.3%であったところ,令和元年は男性73.6%,女性66.4%であり,上昇傾向にある。
令和元年の再入者の前刑罪名(前回入所した時の罪名をいう。以下この項において同じ。)別構成比を罪名別に見るとともに,覚醒剤取締法違反について更に年齢層別に見ると,7-4-3-6図のとおりである。同法違反について,同一罪名再入者(再入罪名と前刑罪名が同一である者をいう。以下この項において同じ。)の割合は,総数で78.1%であり,年齢層別に見ると,40~64歳(80.4%)が最も高く,次いで,65歳以上(78.4%),40歳未満(69.8%)の順であった。同一罪名再入者の割合について罪名別に見ると,同法違反及び窃盗は,詐欺及び傷害・暴行より高い。また,同法違反以外の罪名においても,同法違反が前刑罪名である者が一定割合含まれている(傷害・暴行は23.0%,詐欺は11.5%,窃盗は5.4%)。
令和元年の再入者のうち,前刑罪名が覚醒剤取締法違反の者の再犯期間(第5編第2章第3節4項参照)を前刑出所時の年齢層別に見ると,7-4-3-7図<1>のとおりである。前刑罪名が同法違反の再入者のうち,65歳以上では,再犯期間が1年未満の者の割合が37.5%と,再入者総数(7-4-3-7図<2>)の同年齢層における割合(51.0%)と比べて低い。
なお,前刑罪名が覚醒剤取締法違反の再入者のうち再入罪名も同法違反の者の再犯期間別構成比について見ると,前刑罪名が同法違反の再入者全体(7-4-3-7図<1>)と比べて,その傾向に大きな差はなかった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
令和元年の再入者のうち,前刑罪名が覚醒剤取締法違反の者の再犯期間を前刑出所時の帰住先別に見ると,7-4-3-8図<1>のとおりである。帰住先が「その他」である者は,帰住先が「親族等」である者と比べて,再犯期間が短い者の割合が高い。再入者総数(7-4-3-8図<2>)でも同様の傾向にある。
なお,前刑罪名が覚醒剤取締法違反の再入者のうち再入罪名も同法違反の者の再犯期間別構成比について見ると,前刑罪名が同法違反の再入者全体(7-4-3-8図<1>)と比べて,その傾向に大きな差はなかった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
更生保護施設に含まれる薬物処遇重点実施更生保護施設及び自立準備ホームについては,本編第5章第3節2項(2)参照。
令和元年の覚醒剤取締法違反の入所受刑者の保護処分歴別構成比を,初入者・再入者別に見るとともに,これを年齢層別に見ると,7-4-3-9図のとおりである。保護処分歴のある者の割合は,初入者,再入者のいずれも,若い年齢層の者ほど高い傾向にある。また,入所受刑者全体(5-2-3-3図参照)と比べて高い傾向にある。
平成22年及び27年の覚醒剤取締法違反の出所受刑者について,出所年を含む5年間又は10年間における再入率(第5編第2章第3節2項参照)を出所事由別(仮釈放又は満期釈放の別をいう。以下同じ。)に見ると,7-4-3-10図のとおりである。満期釈放者及び仮釈放者のいずれにおいても,出所受刑者全体(5-2-3-6図参照)と比べて5年以内及び10年以内の再入率は高い。なお,各年の再入所者に占める再入罪名が同法違反の者の割合は,22年及び27年の同法違反の出所受刑者のいずれにおいても約8割であった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
平成27年の覚醒剤取締法違反の出所受刑者について,5年以内の再入率を入所度数別,男女別(初入者・再入者別)及び年齢層別に見ると,7-4-3-11図のとおりである。入所度数別では,入所度数が多いほど再入率は高く,特に入所度数が1度の者(初入者)と2度の者の差は顕著である。男女別(初入者・再入者別)では,初入者及び再入者のいずれにおいても,男性の方が女性よりも一貫して高く,年齢層別では,65歳以上の5年以内再入率が他の年齢層と比較して最も低い。