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令和元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/2

2 総合法律支援法

総合法律支援法(平成16年法律第74号)は,平成16年5月に成立し,18年10月に全面施行された。

同法は,裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに弁護士及び弁護士法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援(以下「総合法律支援」という。)の実施及び体制の整備に関し,その基本理念,国等の責務その他の基本となる事項を定めるとともに,その中核となる日本司法支援センターの組織及び運営について定め,もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを目的としている。

日本司法支援センター(通称「法テラス」)は,平成18年4月に設立され,同年10月に業務が開始された。同センターによる業務については,第3編第1章第1節2項並びに第6編第2章第1節4項(1)及び7項参照。

以下,総合法律支援法の改正に係る要点を概観する。

(1)少年法等の一部を改正する法律(平成19年法律第68号)による改正

平成19年5月,少年法等の一部を改正する法律(平成19年法律第68号)が成立し,同年11月に施行された。同法により,総合法律支援法が改正され,日本司法支援センターの行う総合法律支援に関する業務に国の委託に基づく国選付添人の選任に関する業務を含めることとされた。国選付添人制度については,本章第2節1項(1)(3)及び(5)並びに第3編第1章第1節2項及び第2章第1節2項(3)参照。

(2)犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律(平成20年法律第19号)による改正

平成20年4月,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律(平成20年法律第19号)が成立し,同年12月に施行された。これにより,日本司法支援センターの業務として,国選被害者参加弁護士の候補の指名及び通知等を行うこととされた。被害者参加人のための国選弁護制度については,本章第5節12項及び14項並びに第6編第2章第1節4項(1)7項及び第3節コラム17参照。

(3)犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律(平成25年法律第33号)による改正

平成25年6月,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律(平成25年法律第33号)が成立し,同年12月に施行された。これにより,日本司法支援センターの業務として,被害者参加旅費等の支給に係る事務を行うこととされた。被害者参加旅費等支給制度については,本章第5節14項並びに第6編第2章第1節4項(1)及び第3節コラム17参照。

(4)総合法律支援法の一部を改正する法律(平成28年法律第53号)による改正

平成28年5月,総合法律支援法の一部を改正する法律(平成28年法律第53号)が成立し,30年1月に全面施行された(第3編第1章第1節1項(2)参照)。これにより,日本司法支援センターの業務として,ストーカー行為,児童虐待又は配偶者からの暴力を現に受けている疑いがあると認められる者に対し,資力にかかわらず法律相談を行う(資力が一定基準を超える場合は有料)などとされた。この法律相談の実施状況については,第6編第2章第1節7項参照。