近年の女子による犯罪の動向を見ると,女子の一般刑法犯は,検挙及び起訴人員について,男子と同様に減少傾向にあるが,平成5年と比べるとなお多く,起訴人員では,過去20年間で3倍以上に増加している(6-2-1-1図及び6-3-1-1図参照)。交通法令違反を除く特別法犯送致人員でも男子が減少傾向にあるのに対し,横ばい状態にある(6-2-2-1図参照)。女子の入所受刑者の人員は,20年間で2倍以上に増加し(6-4-1-2図参照),女子の再入者率は,男子に比べて低いものの上昇傾向にある(4-1-3-1図参照)。また,女子の一般刑法犯検挙人員,女子の入所受刑者人員のいずれにおいても,65歳以上の高齢者層の占める割合が上昇しており,その高年齢化は男子以上に顕著である(6-2-1-2図及び6-4-1-3図参照)。
なお,少年の状況を見ると,女子の少年院入院者の人員,少年院仮退院者の人員及び保護観察処分少年の保護観察開始人員は,それぞれ平成13年,14年をピークに減少傾向にある(6-4-2-1図及び6-5-1-1図<1>・<2>参照)。
罪名を見ると,最近では,女子の一般刑法犯の検挙人員の約7割から8割を窃盗が占めており(1-1-1-6表参照),高齢者に限ると約9割とその比率が特に高い(4-4-1-3図CD-ROM参照)。女子の特別法犯の送致人員では,覚せい剤取締法違反の占める割合が約2割から4割弱と高い(6-2-2-1図参照)。女子の入所受刑者の人員では,平成24年は,窃盗と覚せい剤取締法違反で約8割を占めており,また,近年窃盗の増加が著しい(6-4-1-2図参照)。女子の少年院入院者の非行名を見ると,17年までは覚せい剤取締法違反の占める割合が最も高かったが,それ以降は窃盗又は傷害・暴行の占める割合と同程度となっている(6-4-2-1図参照)。
このように,女子の犯罪・非行は,男子と比べて数は少ないが,検挙人員,起訴人員及び入所受刑者人員が,過去20年間というスパンでは増加し,また,とりわけ入所受刑者で男子以上の急速な高齢化が見られる。そして,刑事手続のいずれの段階においても,窃盗又は覚せい剤取締法違反による者の割合が高く,これらの者に対する処遇の在り方が再犯防止を図る上でも極めて重要である。そこで,こうした動向を踏まえて,まずは,高齢者に注意を向けながら窃盗事犯者を,次いで覚せい剤事犯者を,最後に過剰収容が続く女子刑事施設の現状を見ていく中で,今後の女子犯罪者の再犯防止及び改善更生のための取組の在り方について検討する。