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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第5章/第4節/2 

2 刑事司法機関相互の連携

(1)検察庁と保護観察所
 検察官は,起訴猶予処分により被疑者を釈放する場合において,その者が更生緊急保護(第2編第5章第3節1参照)の対象となり得るときは,更生緊急保護の申出の手続を示すとともに,最寄りの保護観察所と連絡を密にする等して,本人による保護申出の円滑化を図っている。
 また,「執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律」(平成18年法律第15号)が施行され,保護観察所長は,その言渡しをした裁判所の意見を聴き,これに基づいて特別遵守事項を定めなければならないとする規定が新設されたことを受け,検察官は,保護観察付執行猶予判決が言い渡される可能性がある事件については,裁判所が特別遵守事項に関して意見を述べること(本章第3節2(5)参照)に配慮し,公判段階において,被告人の生活環境等に関する立証に留意するとともに,特別遵守事項の適切な設定に資するよう,判決言渡し後速やかに,捜査・公判の過程で判明した処遇上の参考事項を保護観察所長に通知することとしている。

(2)矯正施設と保護観察所
 刑事施設及び少年院に収容中の者に関しては,釈放後の更生を支援・促進するため,刑事施設等と保護観察所において,釈放後の生活支援に備えた情報交換を行い,帰住予定地の家族・住居・就労環境の整備等を計画的に実施する等している。
 また,性犯罪者の処遇に当たっては,刑事施設及び保護観察所における性犯罪者処遇プログラム(本章第2節3及び第3節2(2)参照)に一貫性を持たせ,かつ,その処遇効果を維持するため,刑事施設と保護観察所との間で情報交換を密にする体制が導入されている。同様の体制は,刑事施設及び少年院における被害者の視点を取り入れた教育の実施状況に関する保護観察所への情報提供においても採られている。

(3)警察と保護観察所
 所在不明となった仮釈放者及び保護観察付執行猶予者については,保護観察所長から対応する管轄警察本部長に協力を依頼し,警察から当該所在不明者に関する情報の提供を受けることにより,迅速な所在発見に努める体制が,平成18年度から本格的に採られている。
 この体制の下では,保護観察所長は,警察に対し,所在不明者のうち,裁判官から引致状の発付を受けている者については,所在不明者を発見した場合に,当該保護観察事件が係属している保護観察所(以下「保護観察事件係属庁」という。)へ即時に連絡するよう協力を依頼し,それ以外の者については,所在不明者の所在に関する情報を保護観察事件係属庁に通知するよう協力を依頼することとされている。
 その結果,警察からの連絡等により,平成17年12月から19年2月28日までの間に,645人の仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の所在が判明した(法務省保護局の資料による。)。

(4)警察と矯正施設・保護観察所
 子どもを対象とする暴力的性犯罪が社会問題化していることに対応するため,関係機関における特定の犯罪者に関する情報共有を促進する趣旨で,13歳未満の子どもを対象とする暴力的性犯罪等に係る受刑者の釈放等に関して,刑務所長等から警察への情報提供が,平成17年6月から開始された(本章第2節4参照)。なお,出所者のうち,仮釈放者又は更生緊急保護申出者で同様の犯罪をした者については,更に保護観察所長から警察への情報提供がなされている。