覚醒剤取締法違反の保護観察処分少年(交通短期保護観察の対象者を除く。以下この項において同じ。)及び少年院仮退院者について,保護観察開始人員並びに種別ごとの保護観察開始人員総数に占める比率の推移(最近20年間)を男女別に見ると,7-4-2-15図のとおりである。
保護観察開始人員について見ると,保護観察処分少年は,男女共に,平成12年(180人,258人)をピークに,全体としては減少傾向を示していたが,最近5年間は,20人未満の範囲で増減を繰り返しており,少年院仮退院者は,男子は12年(196人),女子は13年(206人)をピークに,全体として減少傾向を示し,最近5年間は,男子は30人未満で,女子はおおむね50人未満で,それぞれ推移している。
当該年に保護観察が開始された保護観察処分少年(少年院仮退院者)総数のうち覚醒剤取締法違反の保護観察処分少年(少年院仮退院者)の占める比率について見ると,保護観察処分少年・少年院仮退院者共に,一貫して女子が男子を上回っており,保護観察処分少年と比べて少年院仮退院者の方が男女の比率の差が大きい。
覚醒剤取締法違反の保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成27年から令和元年までにおける保護観察開始人員の年齢層別構成比を男女別に見ると,7-4-2-16図のとおりである(少年の保護観察開始人員の年齢層別構成比については,3-2-5-2図参照)。
薬物等(保護観察開始時までに使用していたと認められる薬物等で,複数の薬物等を使用していたときは,最も使用頻度の高いものをいう。以下イにおいて同じ。)の使用歴がある保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,保護観察開始人員並びに種別ごとの保護観察開始人員総数に占める比率の推移(最近20年間)を,使用歴のある薬物等の種類別及び男女別に見ると,7-4-2-17図のとおりである。
保護観察処分少年について,覚醒剤の使用歴がある者及びシンナー等の使用歴がある者の各人員は,平成12年と比べて令和元年はいずれも大きく減少している一方,その他の薬物等の使用歴がある者の人員は,男子は平成26年(108人),女子は24年(38人)をピークに増減し,麻薬・あへん・大麻の使用歴がある者の人員は,男子は27年以降急増し,女子も同年以降増加傾向を示している。保護観察処分少年総数に占める比率(当該年に保護観察が開始された保護観察処分少年総数のうち各薬物等の使用歴がある保護観察処分少年の占める比率をいう。)を見ると,12年には,男女共に,シンナー等(男子10.5%,女子25.4%)が最も高く,覚醒剤(同1.2%,10.7%)がそれに続いていたが,令和元年には,男女共に麻薬・あへん・大麻(同5.6%,5.6%)が最も高く,男子はその他の薬物等(0.4%),女子は覚醒剤(2.2%)がそれに続いた。
少年院仮退院者の各薬物等の使用歴がある者の人員については,保護観察処分少年とおおむね同様の動きを示している。少年院仮退院者総数に占める比率(当該年に保護観察が開始された少年院仮退院者総数のうち各薬物等の使用歴がある少年院仮退院者の占める比率をいう。)が最も高い薬物等を見ると,男子は,平成12年にはシンナー等(26.9%),令和元年には麻薬・大麻・あへん(12.0%)であった一方,女子は,平成12年及び令和元年のいずれも覚醒剤(平成12年は41.3%,令和元年は22.1%)であった。
なお,平成12年から令和元年までにおける保護観察開始人員総数のうち,主な非行名が麻薬取締法,覚醒剤取締法及び毒劇法の各違反を除いた者の薬物等の使用歴(薬物等の使用歴が不詳の者を除く。)を見ると,保護観察処分少年では男子の4.5%,女子の10.7%が,少年院仮退院者では男子の17.6%,女子の35.5%が,いずれかの薬物等の使用歴があり,女子の少年院仮退院者では11.7%に覚醒剤の使用歴があった。また,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に,女子は,全ての薬物等について,使用歴がある者の比率が男子より高かった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
覚醒剤取締法違反の保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成27年から令和元年までにおける保護観察終了人員の終了事由別構成比を総数及び保護観察終了時の就学・就労状況別に見ると,7-4-2-18図のとおりである(少年の保護観察終了人員の終了事由別構成比については,3-2-5-7図参照)。