7-4-2-10図は,覚醒剤取締法,麻薬取締法及び毒劇法の各違反による少年院入院者の人員及び入院者総数に占める比率の推移(最近20年間)を,男女別に見たものである。
覚醒剤取締法違反の人員は,最近20年間では,男女共に平成12年がピーク(それぞれ262人,205人)であり,その後増減を繰り返しながらも,全体的に減少傾向にある。入院者総数に占める比率は,男子では,同年には4.8%であったが,その後低下し,最近10年間ではおおむね1%前後で推移している。女子の入院者総数に占める比率は男子より一貫して高いが,12年の33.9%から低下傾向にあり,その後の上昇・低下を経て,令和元年は18.0%であった。
麻薬取締法違反の人員は,男子は平成17年,女子は18年をピークとして,最近10年間では男女合わせて10人未満で推移している。入院者総数に占める比率は,男子では0.5%未満,女子では3%未満で推移している。
毒劇法違反の人員は,最近20年間で見ると男女共に大きく減少しており,特に男子の減少が顕著であり,令和元年は,前年に続いて男女共になかった。入院者総数に占める比率は,男女共に低下傾向にあり,特に女子では,平成19年の7.1%をピークにその後の低下が著しい。
7-4-2-11図は,覚醒剤取締法違反による少年院入院者の年齢層別構成比の推移(最近20年間)を男女別に見たものである。男子は,年長少年(入院時に20歳に達している者を含む。以下アにおいて同じ。)が約7~9割と大半を占め,年少少年(入院時に14歳未満の者を含む。以下アにおいて同じ。)は5%未満で推移している。女子は年長少年が約5~7割,中間少年が約3~4割を占めており,年少少年も0~14%台を推移している。
7-4-2-12図は,少年院入院者について,非行時に薬物等を使用していた者の人員(少年院入院者の非行名(薬物非行に限らない。)に掲げる非行が行われた時に薬物等を使用していた人員をいい,使用していた薬物等が複数の種類に該当する場合は,主要なもの一つに計上している。以下この項において同じ。)及び入院者総数に占める比率の推移(最近20年間)を,薬物等の種類別に見るとともに,これを男女別に見たものである。
非行時に覚醒剤を使用していた者の人員及び入院者総数に占める比率は,7-4-2-10図と類似の傾向を示しており,人員を見ると男女共に平成12年をピーク(それぞれ327人,221人)としてその後減少傾向にある。入院者総数に占める比率は,男子が同年の6.0%から低下傾向にあり,最近10年間では1~2%台を推移しているのに対し,女子の入院者総数に占める比率は男子より一貫して高く,12年の36.7%から低下傾向にあるが,令和元年は18.8%(前年比3.3pt上昇)であった。
非行時に大麻を使用していた者の人員は,平成21年に男女共に一旦ピーク(それぞれ98人,16人)を迎え,減少傾向を示した後,26年から増加傾向となり,特に男子は一貫して増加し,令和元年は201人(前年比24.8%増)と,最近20年間で最も多くなっている。入院者総数に占める比率は,男子は平成26年から,女子は29年から上昇し続け,令和元年は,男女共に最近20年間で最も高かった(それぞれ12.6%,9.8%)。
非行時に有機溶剤を使用していた者の人員は,男女共に大きく減少しており,特に男子では,平成12年の651人と比べて令和元年は6人と,100分の1未満にまで減少している。入院者総数に占める比率は,最近20年間で見ると,男子では平成12年の12.0%,女子では15年の15.0%がピークであり,その後は低下傾向が著しく,27年以降は,男女共に1%未満で推移している。
非行時にその他の薬物等を使用していた者では,人員の増減及び入院者総数に占める比率の上昇・低下を小刻みに繰り返しており,男子では,平成26年にピーク(105人,4.0%)を示している。女子では,人員は17年の22人が最も多いが,入院者総数に占める比率は,25年以降,男子より一貫して高く,令和元年は7.5%と,最近20年間で最も高かった。
7-4-2-13図は,令和元年における少年院入院者の不良集団関係別構成比を,男女別に見るとともに,これを非行時の薬物等使用の有無別に見たものである。男子で不良集団関係がある者の構成比は,非行時に薬物等を使用していなかった者では約4割であるのと比べ,非行時に薬物等を使用していた者では約5割であった(少年院入院者の不良集団関係別構成比については,3-2-4-6図参照)。
7-4-2-14図は,令和元年における少年院入院者の保護者等からの被虐待経験別構成比を,男女別に見るとともに,これを非行時の薬物等使用の有無別に見たものである。被虐待経験があるとする者の構成比は,非行時の薬物等使用の有無にかかわらず,男子では3割強,女子では5割強を占めた(少年院入院者の被虐待経験別構成比については,3-2-4-8図参照)。