覚醒剤取締法違反による入所受刑者人員の推移(最近20年間)は,7-4-1-25図のとおりである。同法違反による入所受刑者人員は,平成12年に7,375人となった後,増減を繰り返しながらも全体としては減少傾向にある。令和元年の同法違反による入所受刑者人員は,4,378人(前年比471人(9.7%)減)であり,そのうち一部執行猶予受刑者は,1,275人(同119人(8.5%)減)であった(CD-ROM参照)。
また,覚醒剤取締法違反による入所受刑者人員の入所受刑者総数に占める比率は,おおむね20%台で推移している一方,女性入所受刑者に占める比率は,30~40%台で推移している。
覚醒剤取締法違反による入所受刑者の年齢層別構成比の推移(最近20年間)を男女別に見ると,7-4-1-26図のとおりである。男性の同法違反による入所受刑者のうち,30歳未満及び30~39歳の年齢層の比率は低下傾向にある一方,それ以外の年齢層の比率は上昇傾向にある。女性については,30歳未満の年齢層の比率は低下傾向にある一方,40~49歳の年齢層の比率は上昇傾向にある。
覚醒剤取締法違反による入所受刑者と入所受刑者総数を比較すると,男性の30~39歳及び40~49歳の年齢層は,同法違反における構成比が入所受刑者総数における構成比よりもおおむね高く,女性は,30歳未満及び30~39歳の年齢層において,同法違反における構成比が入所受刑者総数における構成比よりも高くなっている。
覚醒剤取締法違反による入所受刑者人員の推移(最近20年間)を男女別に見るとともに,これを入所度数別に見ると,7-4-1-27図のとおりである。男性は,初入者の人員が平成14年以降,2度の人員が19年以降,3度以上の人員が27年以降減少し,又は減少傾向にある。女性については,初入者の人員が24年以降,2度の人員が27年以降,3度以上の人員が28年以降減少し,又は減少傾向にある。また,男性は,入所受刑者全体のうち入所度数が3度以上の者の割合が一貫して最も高いのに対し,女性は,初入者の割合が一貫して最も高い。
なお,覚醒剤取締法違反による出所受刑者の5年以内再入率については7-4-3-11図,2年以内再入率の推移については5-2-3-10図<3>をそれぞれ参照。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者の居住状況別構成比を男女別に見ると,7-4-1-28図のとおりである。入所受刑者総数と比べると,男性は住居不定の者の割合が低い一方,女性は住居不定の者の割合が高い。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者の婚姻状況別構成比(婚姻状況が不詳の者を除く。)を見ると,男性は配偶者(内縁関係にある者を含む。以下この項において同じ。)がある者の割合が20.6%,未婚の者の割合が30.4%,離死別の者の割合が49.0%であり,未婚の者の割合が男性の入所受刑者総数(43.2%)に比べて低い一方,離死別の者の割合が男性の入所受刑者総数(39.3%)に比べて高い。女性の同法違反による入所受刑者については,配偶者がある者の割合が36.6%,未婚の者の割合が19.3%,離死別の者の割合が44.2%であり,入所受刑者総数との大きな違いは見られない(矯正統計年報による。)。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者の就労状況別構成比を男女別に見ると,7-4-1-29図のとおりである。入所受刑者総数と比べると,男性は無職者の割合が低い一方,女性については大きな違いは見られない。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者の教育程度別構成比(教育程度が不詳の者を除く。)を見ると,大学在学・中退・卒業が5.6%(男性5.7%,女性5.3%),高校卒業が21.3%(男性21.2%,女性21.6%)となっており,入所受刑者総数の大学在学・中退・卒業が10.6%(男性10.4%,女性12.5%),高校卒業が29.7%(男性29.2%,女性34.4%)であるのと比べると,高校卒業以上の学歴を有する者の割合が低い(矯正統計年報による。)。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者の精神診断別構成比を男女別に見ると,7-4-1-30図のとおりである。入所受刑者総数と比べると,男女共に,その他の精神障害(精神作用物質使用による精神及び行動の障害,統合失調症,気分障害,発達障害等をいう。)を有する者の割合が高くなっている。
令和元年の覚醒剤取締法違反による入所受刑者(4,378人)のうち,421人(9.6%)が暴力団関係者(幹部122人,組員255人,地位不明44人)であり,137人(3.1%)が来日外国人(国籍別の内訳は,マレーシア19人,中国及びフィリピン各14人,米国及びブラジル各11人,その他68人)であった(矯正統計年報による。)。
令和元年の覚醒剤取締法違反による出所受刑者のうち,満期釈放等により釈放されたものの帰住先別構成比を男女別に見ると,7-4-1-31図のとおりである(仮釈放者の居住状況別構成比については,7-4-1-35図参照)。満期釈放により釈放された者については,帰住先が「その他」の者が約半数を占めている一方,一部執行猶予の実刑部分の刑期終了により釈放された者については,帰住先が父・母の者の割合が最も高く,次いで更生保護施設等の者となっている。