7-1-1図は,有責少年人口(刑事責任年齢に達した14歳以上の少年の人口)及び若年者人口等の推移(平成元年以降)を見たものである。少子高齢化が進行し,平成元年から22年までの間に,有責少年人口は約60%に,若年者人口は約84%に低下した。したがって,この有責少年人口・若年者人口の減少傾向を踏まえて,少年非行や若年者犯罪の動向を評価していく必要がある。
次に,家庭環境の現状を概観する。7-1-2図は,離婚率及びひとり親世帯(父親又は母親と未婚の子のみで構成する世帯)数の推移(平成元年以降)を見たものである。離婚率は,平成元年以降上昇し,14年をピークに17年以降おおむね横ばいで推移している。また,ひとり親世帯は,逐年漸増傾向にある。こうした状況は,非行少年の家庭の保護環境面にも表れている(3-1-5-4図及び7-2-3-9図参照)。
7-1-3図は,全国の児童相談所が対応した児童虐待相談の対応件数の推移(平成11年度以降)を見たものである。児童期における被虐待体験は,非行少年等の処遇を考える上で重要な問題の一つであるが,その対応件数は年々増加し,平成22年度においては,児童虐待防止法施行前の11年度に比べ4.7倍となり,過去最多を記録し,児童虐待問題が深刻化していることがうかがわれる。また,児童虐待に係る事件の検挙件数・人員も増加傾向にある(5-1-6-2表参照)。
さらに,青少年層の就労の状況について見る。7-1-4図は,高校・中学新卒者の就職率の推移(平成元年以降)を見たものである。高校新卒者の就職率がおおむね高い水準で推移しているのに対し,中学新卒者の就職率は,景気の変動やそれに伴う労働市場の動向に大きく左右され,特に近年その状況が悪化していることがうかがわれる。
7-1-5図は,新卒者の就職後1年間の離職率の推移を教育程度別に見たものである。大学卒業者に比べ,高校・中学卒業者では就職後1年間に離職する者の割合が高く,特に中学卒業者ではその割合が顕著に高く,一貫して4割以上で推移しており,その就労状況が不安定であることがうかがわれる。
7-1-6図は,青少年層の完全失業率の推移(平成元年以降)を年齢層別に見たものである。完全失業率は,元年から見ると全般的に上昇傾向にあるが,特に20歳代前半期までの青少年層における失業率が高く,就労の確保と維持が困難になっている状況がうかがえる。
7-1-7図は,若年無業者数(15歳から34歳までの非労働力人口(「就業者」及び「完全失業者」以外の者)のうち,家事も通学もしていない者をいう。)の推移(平成12年以降)を年齢層別に見たものである。少年に比して,20歳以降の年齢層の無業者数が多い。また,いずれの年齢層でも,無業者は多数に及び,その数は近年ほぼ同程度の水準で推移している。