検察官が行う事件の処理には、起訴処分、不起訴処分等があり、不起訴処分は、その理由により、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴(親告罪の告訴の取消し等、時効完成、心神喪失等)に分けることができる(詳細については、第2編第2章第4節参照)。
不同意性交等について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-1図<1>のとおりである。起訴人員は、平成17年には1,000人を超えていたが、18年以降減少傾向が続き、29年には17年以降最も少ない354人となった。30年に増加に転じた後、400人台から500人台で推移していたが、令和5年には600人を超え、6年は1,165人(前年比512人増)に達した。起訴猶予人員は、平成17年から28年まで100人未満で推移していたが、29年に100人を超えると、その後は増加傾向にあり、令和6年は800人(同404人増)まで増加した。嫌疑不十分人員は、平成17年から29年まで200人台から400人台で増減を繰り返した後、同年以降は増加を続け、令和6年は1,289人(同409人増)に達した。その他の不起訴人員は、平成17年から25年まではおおむね200人台で推移していたが、26年に300人を超え、翌27年(429人)をピークとして、その後は大幅に減少し、30年以降は令和6年まで50人未満で推移している。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は起訴の構成比が60%を超え、起訴猶予の構成比は5%弱、嫌疑不十分の構成比及びその他の不起訴の構成比は10%台であったが、その後、27年まで、起訴の構成比は低下傾向、その他の不起訴は上昇傾向にあり、同年には、起訴の構成比及びその他の不起訴の構成比が30%台、嫌疑不十分の構成比が20%台、起訴猶予の構成比が3%弱となった。28年以降は、起訴猶予の構成比は上昇傾向、その他の不起訴の構成比は低下傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は35.5%、起訴猶予の構成比は24.4%、嫌疑不十分の構成比は39.3%、その他の不起訴の構成比は0.8%であった。
不同意わいせつについて、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-1図<2>のとおりである。起訴人員は、平成17年及び18年は1,600人台であり、翌年以降増減を繰り返しながら減少傾向にあったが、令和6年は1,544人(前年比144人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年から27年まで100人台で推移した後、29年から30年にかけて、前年比でおおむね各500人増と大幅に増加し、同年から令和4年までは1,100人台から1,200人台で推移していたが、5年は1,400人台に達し、6年は更に増加して1,702人(同250人増)であった。嫌疑不十分人員は、平成17年から28年までは200人台から400人台で推移していたが、29年から顕著な増加傾向にあり、令和6年は1,294人(同110人増)であった。その他の不起訴人員は、平成17年から22年まで700人台で推移した後、翌年から増加し続けていたが、28年(1,252人)をピークとして、その後は大幅な減少傾向にあり、令和6年は39人(同74人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は60%弱、起訴猶予の構成比は5%弱、嫌疑不十分の構成比は10%弱、その他の不起訴の構成比は30%弱であった。その後、28年まで、起訴の構成比は低下傾向、嫌疑不十分の構成比及びその他の不起訴の構成比は上昇傾向にあり、同年には、起訴の構成比が約40%、起訴猶予の構成比が6%強、嫌疑不十分の構成比が15%強、その他の不起訴の構成比が40%弱となった。29年以降は、起訴猶予の構成比は上昇傾向、その他の不起訴の構成比は低下傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は33.7%、起訴猶予の構成比は37.2%、嫌疑不十分の構成比は28.3%、その他の不起訴の構成比は0.9%であった。
不同意性交等及び不同意わいせつの起訴・不起訴人員等の推移を見るに当たっては、平成29年法律第72号による改正(平成29年7月施行)により、従来の強姦が強制性交等に改められ、従来の強制わいせつの処罰対象の一部が強制性交等の処罰対象となり、従来の強姦及び強制わいせつは親告罪であったが、強制性交等及び強制わいせつは非親告罪とされたこと及び監護者性交等・監護者わいせつが新設されたこと並びに令和5年法律第66号による改正(令和5年7月施行)により、強制性交等及び強制わいせつの構成要件が変更されて、それぞれ不同意性交等及び不同意わいせつとなったことに留意が必要である(法改正の詳細については、第1編第1章第2節4項参照)。
窃盗について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-2図<1>のとおりである。起訴人員は、平成17年から23年まで4万人台で推移し、翌年から令和2年は3万人台、3年及び4年は2万人台で推移し、減少傾向にあったが、5年に増加に転じ、6年は3万1,014人(前年比641人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年から令和2年まで3万人台で推移した後、翌年以降減少し、4年には2万7,511人となったが、5年に増加に転じ、6年は3万240人(同723人増)であった。嫌疑不十分人員は、平成18年(3万8,225人)をピークとして、翌年以降は減少傾向にあり、令和6年は6,521人(同83人増)であった。その他の不起訴人員は、平成19年及び20年は6,000人台であったが、翌年に大幅に減少し、22年から令和3年は2,000人台、4年以降は1,000人台で推移し、6年は1,392人(同255人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は40%強、起訴猶予の構成比は約35%、嫌疑不十分の構成比は約20%、その他の不起訴の構成比は約3%であった。その後、起訴猶予の構成比は上昇傾向、嫌疑不十分の構成比は低下傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は44.8%、起訴猶予の構成比は43.7%、嫌疑不十分の構成比は9.4%、その他の不起訴の構成比は2.0%であった。なお、本図では、本章第1節の各図と異なり、乗り物関係に限ることなく窃盗全部の件数を計上している点に留意が必要である(以下この節において同じ。)。
暴行について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-2図<2>のとおりである。起訴人員は、平成18年以降3,000人台から4,000人台で推移しており、令和6年は4,614人(前年比122人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年から24年まで5,000人台から6,000人台で推移した後、翌年から増加傾向となり、28年から令和2年までは9,000人台で推移した。3年には8,683人(同604人減)まで減少したが、翌年以降は増加し、6年は1万427人(同131人増)であった。嫌疑不十分人員は、平成18年以降、増加傾向にあり、令和6年は平成17年の約4倍である1,585人(同237人増)であった。その他の不起訴人員は、17年から24年まで100人以下で推移し、25年以降は100人台から200人台で推移していたが、令和6年は再び100人を下回り、87人(同18人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は約45%、起訴猶予の構成比は50%強、嫌疑不十分の構成比は約3%、その他の不起訴の構成比は1%未満であった。その後、起訴の構成比は低下傾向、起訴猶予の構成比及び嫌疑不十分の構成比は上昇傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は27.6%、起訴猶予の構成比は62.4%、嫌疑不十分の構成比は9.5%、その他の不起訴の構成比は0.5%であった。
脅迫について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-2図<3>のとおりである。起訴人員は、平成18年は840人であったが、翌年以降減少傾向にあり、23年には606人まで減少したものの、翌年以降増加傾向に転じ、26年は1,048人(前年比180人増)であった。28年以降は、700人台から800人台で推移しており、令和6年は837人(同13人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年から23年まで300人台で推移した後、増加傾向となり、令和6年は平成17年の約3倍である1,033人(同74人減)であった。嫌疑不十分人員は、17年から23年までは200人台で推移していたが、翌年以降おおむね300人台から400人台で推移しており、令和6年は398人(同25人増)であった。その他の不起訴人員は、平成17年以降、60人から200人の間で増減を繰り返しており、令和6年は102人(同78人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は50%弱、起訴猶予の構成比は25%弱、嫌疑不十分の構成比は15%強、その他の不起訴の構成比は10%強であった。その後、起訴の構成比は低下傾向、起訴猶予の構成比は上昇傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は35.3%、起訴猶予の構成比は43.6%、嫌疑不十分の構成比は16.8%、その他の不起訴の構成比は4.3%であった。
詐欺について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-2図<4>のとおりである。起訴人員は、平成17年から22年までは1万人台で推移していたが、23年以降は、おおむね7,000人台から9,000人台で増減を繰り返し、令和6年は7,826人(前年比530人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年から令和2年までおおむね3,000人台で推移した後、翌年から2年連続で増加し、4年は5,108人に達したが、5年から減少し、6年は3,795人(同449人減)であった。嫌疑不十分人員は、平成18年から25年まで増加傾向にあったが、同年(3,265人)をピークとして、その後はおおむね2,500人から3,000人前後で推移しており、令和6年は3,311人(同347人増)であった。その他の不起訴人員は、平成17年以降、300人台から600人台で推移していたが、令和6年は300人を下回り、287人(同55人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は70%弱、起訴猶予の構成比は20%弱、嫌疑不十分の構成比は10%弱、その他の不起訴の構成比は3%未満であった。その後、起訴の構成比は、23年以降、おおむね50%台で、起訴猶予の構成比は、22年以降、おおむね20%台で、嫌疑不十分の構成比は、同年以降、10%台後半から20%台前半の間で、それぞれ上昇低下を繰り返している。令和6年は、起訴の構成比は51.4%、起訴猶予の構成比は24.9%、嫌疑不十分の構成比は21.8%、その他の不起訴の構成比は1.9%であった。
器物損壊について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-2図<5>のとおりである。起訴人員は、平成17年は2,436人であったが、翌年以降減少傾向にあり、令和6年は平成17年の約5分の3である1,391人(前年比48人増)であった。起訴猶予人員は、17年から28年までは700人台から800人台で推移していたが、翌年から令和3年までは900人台で推移し、4年に886人に減少したものの、5年から増加に転じ、6年は1,044人(同26人増)であった。嫌疑不十分人員は、平成17年には1,200人を超えていたが、翌年以降減少傾向にあり、23年から25年は700人台であった。28年及び29年には再び1,000人を超えたが、翌年以降700人台から900人台で推移しており、令和6年は803人(同22人増)であった。その他の不起訴人員は、平成17年から28年まではおおむね4,000人台で推移していたが、29年から令和2年までは3,000人台、3年以降は2,000人台で推移し、6年は2,646人(同163人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は25%強、起訴猶予の構成比は10%弱、嫌疑不十分の構成比は15%弱、その他の不起訴の構成比は50%弱であった。その後、起訴の構成比は低下傾向にあり、29年に19.1%まで低下した後、20%台前半で推移している一方、起訴猶予の構成比は上昇傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は23.6%、起訴猶予の構成比は17.7%、嫌疑不十分の構成比は13.6%、その他の不起訴の構成比は45.0%であった。
配偶者暴力防止法違反について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-3図<1>のとおりである。起訴人員は、平成17年以降30人台から80人台で推移し、令和6年は42人(前年比10人増)であった。起訴猶予人員は、平成17年以降10人台から40人台で推移し、令和6年は28人(同7人増)であった。嫌疑不十分人員及びその他の不起訴人員は、平成17年以降いずれも10人未満で推移し、令和6年はそれぞれ2人(同2人減)、0人(同1人減)であった。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は8割弱、起訴猶予の構成比は2割強、嫌疑不十分の構成比は約1%であった。その後、起訴の構成比は低下傾向、起訴猶予の構成比は上昇傾向にあり、令和6年は、起訴の構成比は58.3%、起訴猶予の構成比は38.9%、嫌疑不十分の構成比は2.8%であった。その他の不起訴は該当がなかった。
ストーカー規制法違反について、起訴・不起訴(起訴猶予、嫌疑不十分、その他の不起訴)人員等の推移(最近20年間)を見ると、7-2-2-3図<2>のとおりである。起訴人員、起訴猶予人員及び嫌疑不十分人員は、平成18年以降いずれも増加傾向にあり、令和6年は、それぞれ平成17年の約4倍である659人(前年比5人減)、約40倍である514人(同56人増)、約14倍である95人(同11人増)であった。その他の不起訴人員は、18年から28年までは増加傾向にあったが、同年(122人)をピークとして、その後は大幅に減少し、29年以降は令和6年まで30人未満で推移している。
起訴、起訴猶予、嫌疑不十分及びその他の不起訴の別に、構成比の推移で見ると、平成17年は、起訴の構成比は約82%、起訴猶予の構成比は約7%、嫌疑不十分の構成比は約4%、その他の不起訴の構成比は約8%であった。その後、28年まで、起訴の構成比は低下傾向、起訴猶予の構成比及びその他の不起訴の構成比は上昇傾向にあり、同年には、起訴の構成比が約60%、起訴猶予の構成比が約17%、嫌疑不十分の構成比が約6%、その他の不起訴の構成比が約17%となった。29年以降、起訴の構成比はおおむね50%台、起訴猶予の構成比は30~40%台、嫌疑不十分の構成比は10%未満、その他の不起訴の構成比は3%未満でそれぞれ推移し、令和6年は、起訴の構成比は51.6%、起訴猶予の構成比は40.3%、嫌疑不十分の構成比は7.4%、その他の不起訴の構成比は0.6%であった。
配偶者暴力防止法違反及びストーカー規制法違反の起訴・不起訴人員等の推移を見るに当たっては、<1>平成16年法律第64号による配偶者暴力防止法の改正(平成16年12月施行)により、配偶者からの暴力の定義が拡大し、保護命令制度が拡充されたこと及び令和5年法律第30号による改正(令和6年4月全面施行)により、保護命令制度が拡充されたこと(近年の法改正の詳細については、第4編第6章第2節参照)、<2>平成25年法律第73号によるストーカー規制法の改正(平成25年10月全面施行)、平成28年法律第102号による改正(29年6月全面施行)及び令和3年法律第45号による改正(令和3年8月全面施行)により、それぞれ規制対象行為が拡大されたこと並びに平成28年法律第102号による改正により、ストーカー行為罪が非親告罪とされたことに留意が必要である。