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3 少年院仮退院者の保護観察の状況 (一) 少年院仮退院者の状況 地方更生保護委員会で仮退院の許可のあった者は,原則として二〇歳に達するまで保護観察を受けることになっている。この制度は,昭和二四年七月犯罪者予防更生法の施行によってはじめられたものである。
この対象者の保護観察については,前編第三章で述べたとおり,特別遵守事項が地方更生保護委員会によって定められ,成績が特に良好な場合は,二〇歳未満であっても退院を許し,保護観察を終了することができることになっている。一方,遵守事項を遵守しない等の場合は,保護観察所長の申出に基づく地方更生保護委員会の申請により,家庭裁判所は,これを少年院に戻して収容することを決定することができる。 保護観察開始時における少年院仮退院者の出頭状況はII-100表に示したとおり,その出頭率は九八・八%で良好である。これは,昭和三〇年に九三・八%であったものが,徐々にではあるが,年を追って向上してきたもので,少年院,地方更生保護委員会,保護観察所の間の連けいが緊密にとられるようになったことなどの結果とみることができる。 近年における少年院仮退院者の新受状況は,昭和三五年を頂点として,その後はおおむね横ばい的傾向で,四〇年の新受者は六,三三九人,同年末の同対象者は一〇,〇〇五人である。 (二) 少年院仮退院者の成績の状況 保護観察中の成績はII-101表にみるとおり,他の保護観察種別対象者が「良」,「やや良」をあわせて五〇%以上であるのに比し,少年院仮退院者は四〇%弱で,もっとも低率であり,「不良」の者の割合も他の二倍程度である。また,III-121表にみるとおり,昭和三九年中に,所在不明のまま保護観察を終了した者一二%強,家裁取消を受けた者二二%強で,この点も,保護観察処分少年に比し,かなり高率であり,その成績は,概して芳しくない。これは,少年院に送致される者に,資質の面で相当に問題のある者が多く,保護観察の実施にあたって処遇の困難な対象者を多く含んでいることにも関連すると思われる。しかし,同表によってうかがわれるように,保護観察を終了するときの成績は,わずかずつではあるが,「良」,「やや良」の者の割合が,累年増加し,また,「不良」の者の割合が,累年減少してきており,保護観察の実績は,あがりつつあるとみるべきで,その方法に一段の工夫と充実を得ることによって,さらに,実績をたかめることができると思われる。
III-121表 少年院仮退院者の保護観察終了事由別人員累年比較(昭和35〜39年) |