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 昭和41年版 犯罪白書 第三編/第三章/六/4 

4 仮出獄者および保護観察付執行猶予者のうち,二〇歳未満である者の保護観察の状況

 仮出獄者のなかには,刑の言渡しを受けたとき,少年(二〇歳未満)で,少年刑務所から仮釈放になった者等があり,また保護観察付執行猶予者のなかにも,言渡しのとき,少年であった者があるが,これらの者のみをとりあげて,その保護観察の実施状況を十分にみる資料がないので,ここでは,これらの者のうち,保護観察立件時に少年(二〇歳未満)であった者の保護観察の状況を概観するにとどめる。
 仮出獄者のうち,昭和三九年中に保護観察を終了した右該当者は八三人(〇・四%弱)で,その数は多くはない。これらの者の最近五年間の保護観察終了時の成績状況は,III-122表のとおりで,その数は,昭和三六年以降,累年減少しつつある。その保護観察成績は,数が少ないので,詳細な検討はできないが,その他の仮出獄者よりよいとは言えない状況で,保護観察終了時の成績が「良」,「やや良」の者は,あわせて二四・一%で,その他の仮出獄者より一〇・三%低く,また,「不良」の者は三・六%で,その他の仮出獄者より〇・七%高い。

III-122表 仮出獄者のうち20歳未満の者の保護観察終了事由(昭和35〜39年)

 つぎに,保護観察付執行猶予者のうち,昭和三九年中に保護観察を終了した同該当者は三九九人(四・九%)である。これらの者の最近五年間の保護観察終了時の成績状況は,III-123表のとおりで,その数は,わずかではあるが,増加の傾向にあるとみられる。これによれば,保護観察の成績は,その他の保護観察付執行猶予者に比し,必ずしも良好とは言えない状況で,保護観察終了時の成績が「良」,「やや良」の者は,あわせて二六・九%で,その他の保護観察付執行猶予者より三・六%低く,また,「不良」の者は二・八%で,その他の保護観察付執行猶予者より〇・六%高く,再犯等により執行猶予の「取消」を受けた者は三六・六%で,これも,その他の保護観察付執行猶予者より一〇・五%高い状況である。しかし,これらの対象者は,二〇歳未満のとき刑事処分を受けた者であり,犯罪性も相当に強く,資質面の問題点も多い者と思われるので,その保護観察成績が,比較的よい成績を示している成人仮出獄者に比し,右の程度の差異があることは首肯できることである。また,これらの対象者の成績状況をIII-114表およびIII-121表に比較してみると,保護観察処分少年とおおむね同等程度,少年院仮退院者よりよい成績であることがうかがわれる。

III-123表 保護観察付執行猶予者のうち20歳未満の者の保護観察終了事由(昭和35〜39年)