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令和4年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/1

1 少年法等の改正について

令和3年5月、少年法等の一部を改正する法律(令和3年法律第47号。以下この編において「改正法」という。)が成立し、4年4月から施行された。改正法は、選挙権年齢や成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18・19歳の者が社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になった一方で、成長途上にあり可塑性を有する存在であることなどに鑑み、18・19歳の者が罪を犯した場合に、その立場に応じた取扱いとするため、少年法を改正し、これらの者を「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を定めるなど、所要の規定を整備したものである(本改正に係る法務大臣の法制審議会に対する諮問(諮問第103号)及びこれに対する同審議会の答申につき第2編第1章1項(1)参照)。

具体的には、18歳以上の少年を特定少年と呼称することとした上で、<1>家庭裁判所が原則として検察官に送致しなければならない事件に、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件を加え、<2>保護処分は、犯罪の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内においてしなければならないこととするとともに、ぐ犯をその対象から除外するなどの規定の整備が行われた(本節3及び4項参照)。また、<3>特定少年について、刑事事件の特例に関する規定のうち、不定期刑、換刑処分(労役場留置の言渡し)の禁止の規定等を適用しないものとするなどの規定が設けられ(本編第3章第1節1項参照)、さらに、特定少年のときに犯した罪により公訴を提起された場合には、略式手続による場合を除き、記事等の掲載の禁止に関する規定を適用しないこととされた。

また、改正法により、更生保護法が改正され、前記<2>の保護処分に係る保護観察に付された特定少年を保護観察処分少年(本章第5節2項(1)参照)に加えるなどの規定の整備が行われた。さらに、改正法により、少年院法が改正され、少年院の種類として新たに第5種を追加する(本章第4節3項(1)参照)などの規定の整備が行われた。