法務大臣は、平成29年2月、法制審議会に対し、少年法(昭和23年法律第168号)における「少年」の年齢を18歳未満とすること並びに非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事の実体法及び手続法の整備の在り方等について諮問を行い(諮問第103号)、同審議会において、調査審議が行われ、令和2年10月、法務大臣に対する答申がなされた。
この答申においては、<1>罪を犯した18歳及び19歳の者について、家庭裁判所への送致、同裁判所における手続・処分、刑事事件の特例等に関する法整備を行うこと、<2>犯罪者に対する処遇を一層充実させるため、自由刑の単一化、若年受刑者に対する処遇調査の充実、刑の全部の執行猶予制度の拡充等の法整備その他の措置を講ずることなどが掲げられた。このうちの<1>については、令和3年5月に少年法等の一部を改正する法律(令和3年法律第47号。第3編第2章第1節1項参照)が成立した。
また、法務大臣は、令和3年9月、法制審議会に対し、侮辱罪の法定刑について諮問を行い(諮問第118号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年10月、法務大臣に対する答申がなされた。
この答申においては、侮辱罪の法定刑を1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とすることが掲げられた。
前記諮問第103号に対する答申のうちの前記<2>及び前記諮問第118号に対する答申については、令和4年3月、刑法等の一部を改正する法律案及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案が国会に提出され、同年6月13日、刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)が成立した。これにより、<1>侮辱罪の法定刑について、「拘留又は科料」から「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げること、<2>懲役及び禁錮を廃止して拘禁刑を創設し、拘禁刑は、刑事施設に拘置し、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができるものとすること、<3>再度の刑の全部の執行猶予の言渡しをすることができる対象者の範囲を拡大するなど刑の執行猶予制度を拡充することなどを内容とする刑法及び刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)等の一部改正並びに<4>施設内・社会内処遇に関する規定の整備を内容とする刑事収容施設法、更生保護法(平成19年法律第88号)、更生保護事業法(平成7年法律第86号)、少年院法(平成26年法律第58号)及び少年鑑別所法(平成26年法律第59号)の一部改正が行われた(<1>は令和4年7月7日施行、<2>から<4>は5年12月まで又は7年6月までに段階的に施行)。
法務大臣は、令和2年2月、法制審議会に対し、保釈中の被告人や刑が確定した者の逃亡を防止し、公判期日への出頭や刑の執行を確保するための刑事法の整備について諮問を行い(諮問第110号)、同審議会において、調査審議が行われ、3年10月、法務大臣に対する答申がなされた。
法務大臣は、令和3年5月、法制審議会に対し、逮捕状・勾留状の呈示や起訴状謄本の送達を始めとして、刑事手続を通じて犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための法整備の在り方等について諮問を行い(諮問第115号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年9月、法務大臣に対する答申がなされた。
法務大臣は、令和3年9月、法制審議会に対し、性犯罪に対処するための法整備について諮問を行い(諮問第117号)、同審議会は、刑事法(性犯罪関係)部会において、調査審議を行っている。
法務大臣は、令和4年1月、法制審議会に対し、マネー・ローンダリング罪の法定刑について諮問を行い(諮問第119号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年2月、法務大臣に対する答申がなされた。
法務大臣は、令和4年6月、法制審議会に対し、情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の整備について諮問を行い(諮問第122号)、同審議会は、刑事法(情報通信技術関係)部会において、調査審議を行っている。
法務大臣は、令和4年6月、法制審議会に対し、犯罪収益等の没収について諮問を行い(諮問第123号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年9月、法務大臣に対する答申がなされた。