薬物非行による少年鑑別所被収容者(第3編第2章第3節2項(2)参照)の人員を非行名別に見るとともに,これを男女別に見ると,7-4-2-6図のとおりである。覚醒剤取締法違反の推移(最近20年間)について見ると,総数は,少年鑑別所の被収容者の人員全体(3-2-3-2図CD-ROM参照)よりも早い時期から減少傾向にあったが,近年はおおむね横ばい状態である。女子比は,平成14年以降一貫して5割を超えて推移し,令和元年は43.9%であったものの,少年鑑別所の被収容者全体に占める女子比(3-2-3-2図CD-ROM参照)よりも一貫して高い(CD-ROM参照。なお,少年鑑別所の入所者については3-2-3-1図参照)。麻薬取締法違反について見ると,総数は,覚醒剤取締法違反と比べて少ないものの,近年増加傾向にある。毒劇法違反について見ると,総数は,平成13年に569人を記録した後,25年頃にかけて大きく減少しており,令和元年は0人であった。
少年鑑別所の被収容者について,非行時の薬物等使用の観点から,その特徴を見ることとする。なお,非行時の使用薬物等の種類は,被収容者の非行名(薬物非行に限らない。)に掲げる非行が行われた時に使用していた薬物等の種類であり,複数の種類に該当する場合は,主要なもの一つに計上している。
被収容者について,非行時に薬物等を使用していた者の人員の推移(最近20年間)を非行時の使用薬物等の種類別に見るとともに,これを年齢層別に見ると,7-4-2-7図のとおりである。覚醒剤及び有機溶剤は,いずれの年齢層でも減少傾向にある一方,大麻及び麻薬・あへんは,平成26年頃から増加傾向にあり,その傾向は年長少年(退所時に20歳に達している者を含む。)において顕著である。
令和元年における被収容者の不良集団関係別構成比を非行時の使用薬物等の種類別に見ると,7-4-2-8図のとおりである。非行時に薬物等を使用していた者については,いずれの薬物等においても,使用なしに比べて,暴力団及び地域不良集団の割合が高い。一方,不良集団関係なしについて見ると,覚醒剤,大麻及び麻薬・あへんでは,使用なしと同様に過半数を占めている。
令和元年に収容審判鑑別を終了した者について,審判における決定等別構成比を非行時の使用薬物等の種類別に見ると,7-4-2-9図のとおりである。非行時に薬物等を使用していた者については,いずれの薬物等においても,使用なしに比べて,少年院送致の割合が高く,保護観察の割合が低い。