検察官が行う起訴処分には,公判請求と略式命令請求があり,不起訴処分には,<1>訴訟条件(親告罪の告訴等)を欠くことを理由とするもの,<2>事件が罪にならないことを理由とするもの(心神喪失を含む。),<3>犯罪の嫌疑がないこと(嫌疑なし)又は十分でないこと(嫌疑不十分)を理由とするもののほか,<4>犯罪の嫌疑が認められる場合でも,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないこと(起訴猶予)を理由とするものなどがある。
検察庁終局処理人員総数(過失運転致死傷等及び道交違反を含む。以下この節において同じ。)について,処理区分別構成比及び公判請求人員・公判請求率の推移(最近20年間)は,2-2-4-1図のとおりである(薬物犯罪の処理区分別構成比の推移については,7-4-1-17図参照)。令和元年における検察庁終局処理人員総数は,90万7,273人(前年比8万8,872人(8.9%)減)であり,その内訳は,公判請求8万1,186人,略式命令請求20万1,658人,起訴猶予51万3,757人,その他の不起訴6万2,920人,家庭裁判所送致4万7,752人であった。公判請求人員は,平成17年から減少傾向にあり,令和元年は前年より2,582人(3.1%)減少した(CD-ROM参照。罪名別の検察庁終局処理人員については,CD-ROM資料2-3参照)。
起訴,起訴猶予及びその他の不起訴の人員並びに起訴率の推移(最近20年間)を,刑法犯,道交違反を除く特別法犯に分けて見ると,2-2-4-2図のとおりである(薬物犯罪の起訴・不起訴人員等の推移については,7-4-1-18図参照)。なお,令和元年における検察庁終局処理人員総数の起訴率は32.9%であった(CD-ROM資料2-2参照)。
令和元年における不起訴処分を受けた者(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。)の理由別人員は,2-2-4-3表のとおりである。起訴猶予により不起訴処分とされた者の比率は,平成22年と比較して2.3pt上昇したのに対し,嫌疑不十分(嫌疑なしを含む。)により不起訴処分とされた者の比率は,2.0pt低下した(CD-ROM参照)。
検察庁終局処理人員総数,刑法犯及び道交違反を除く特別法犯の起訴猶予率の推移(最近20年間)を見ると,2-2-4-4図のとおりである(過失運転致死傷等及び道交違反の起訴猶予率の推移については4-1-3-2図CD-ROM,罪名別・年齢層別の起訴猶予率については4-7-2-1図,薬物犯罪の起訴猶予率の推移については7-4-1-18図をそれぞれ参照)。
なお,検察庁と保護観察所が連携して行う「起訴猶予者に係る更生緊急保護の重点実施等の試行」については,第2編第5章第4節参照。