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令和2年版 犯罪白書 第7編/第4章/第1節/2

2 検察
(1)被疑事件の受理

7-4-1-16図は,覚醒剤取締法,大麻取締法,麻薬取締法,毒劇法及び医薬品医療機器等法の各違反の検察庁新規受理人員の推移(最近30年間)を見たものである。覚醒剤取締法違反は,平成2年以降増減を繰り返し,12年には約2万8,000人に達したが,翌年からは減少傾向にあり,令和元年は,1万3,325人(前年比15.9%減)であった。毒劇法違反は,平成3年から9年にかけて大幅に減少した後,その後も減少傾向にあり,令和元年は238人であった。麻薬取締法違反は,平成2年以降緩やかな増加傾向にあり,20年には1,337人に達したが,その後は700人台から1,000人台で推移している。大麻取締法違反は,18年から21年にかけて増加した後,減少に転じたが,25年からは毎年増加し,令和元年は,6,255人(同17.2%増)であった。医薬品医療機器等法は,平成2年以降おおむね横ばいで推移した後,26年及び27年(1,816人)に急増したが,その後は減少し続けている(CD-ROM資料1-4参照)。

7-4-1-16図 薬物犯罪 検察庁新規受理人員の推移(罪名別)
7-4-1-16図 薬物犯罪 検察庁新規受理人員の推移(罪名別)
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(2)被疑事件の処理

覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反の検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(最近20年間)を見ると,7-4-1-17図のとおりである。家庭裁判所送致の占める割合は,覚醒剤取締法違反では低下傾向にあるのに対し,大麻取締法違反は近年上昇傾向にあり,検察庁終局処理人員の総数における家庭裁判所送致の占める割合(令和元年は5.3%。2-2-4-1図<1>参照)と比べると,覚醒剤取締法違反はこれより低いが,大麻取締法違反は平成29年以降,これより高くなっている。

7-4-1-17図 薬物犯罪 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(罪名別)
7-4-1-17図 薬物犯罪 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(罪名別)
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覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反について,起訴,起訴猶予及びその他の不起訴の人員並びに起訴率及び起訴猶予率の推移(最近20年間)を見ると,7-4-1-18図のとおりである。起訴人員について見ると,覚醒剤取締法違反は,平成12年以降減少傾向にあり,令和元年(9,942人)は,平成12年(2万4,048人)の約4割の水準となっている。大麻取締法違反は,同年から21年(2,484人)にかけて増加傾向を示した後,翌年から減少に転じたが,26年からは毎年増加している。麻薬取締法違反は,12年以降増加傾向にあり,19年には888人に達したが,その後減少傾向に転じ,27年からは500人前後で推移している(CD-ROM資料7-1参照)。

7-4-1-18図 薬物犯罪 起訴・不起訴人員等の推移(罪名別)
7-4-1-18図 薬物犯罪 起訴・不起訴人員等の推移(罪名別)
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不起訴人員について見ると,覚醒剤取締法違反は,平成12年以降おおむね2,000人台で推移していたが,18年からは3,000人台で推移している。大麻取締法違反は,12年以降増加傾向にあり,令和元年(2,795人)は平成12年(488人)の約5.7倍であった。麻薬取締法違反は,26年以降それほど大きな変動はなく,300人台後半から500人台前半で推移している(CD-ROM資料7-1参照)。

起訴率について見ると,覚醒剤取締法違反は,平成14年に90%を下回った後緩やかな低下傾向が見られるものの,75%以上の比較的高い水準で推移しており,道交違反を除く特別法犯全体(令和元年は49.3%。2-2-4-2図<2>参照)よりも顕著に高い。他方,大麻取締法違反は,平成23年までは50%台後半から70%台前半で推移していたが,24年以降は50%前後で推移している。麻薬取締法違反は,12年の77.7%から26年の40.8%まで低下傾向にあったが,近年は50%台で推移している(CD-ROM資料7-1参照)。

起訴猶予率について見ると,平成12年以降,大麻取締法違反は21~37%台で,麻薬取締法違反は10~32%台で増減を繰り返しながら推移している。覚醒剤取締法違反は4~9%台とおおむね横ばいで推移しており,道交違反を除く特別法犯全体(令和元年は45.4%。2-2-4-4図参照)と比較して顕著に低い(CD-ROM資料7-1参照)。

なお,令和元年において,麻薬特例法違反の起訴人員は182人,不起訴人員は491人(起訴猶予351人,その他の不起訴140人)であり,起訴率は27.0%,起訴猶予率は65.9%であった。もっとも,同法違反のうち,「業として行う不法輸入等」について見ると,起訴率は65.6%(起訴21人,起訴猶予5人及びその他の不起訴6人)であった。同年において,あへん法違反で起訴された者は2人であった(検察統計年報による。)。