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平成24年版 犯罪白書 第7編/第2章/第4節/2

2 民間協力者及び団体
(1)篤志面接委員

ア 制度,沿革

矯正施設では,被収容者が抱える複雑で多様な問題の解決や,その心情の安定を図る上で,専門的知識や豊富な経験を有する民間の有識者の協力を得ることが,効果的である場合が少なくない。篤志面接委員制度は,個々の受刑者や少年院在院者が抱えている精神的な悩みや,家庭,職業,将来の生活設計等の問題について,篤志面接委員の助言・指導を求めて,その解決を図ろうとするものである(第2編第4章第3節3項(1)参照)。

篤志面接委員は,矯正施設の職員とは異なる立場から,広い識見と専門性を持って被収容者を理解し,彼らが自ら問題を直視して解決することに努め,人間的に成長し変容するよう支援している。なお,篤志面接委員は,学識経験者,法曹関係者,宗教家,更生保護関係者等の中から,矯正施設の長が推薦し,矯正管区長が委嘱するものであり,任期は2年で再委嘱を妨げない。

この篤志面接委員制度は,英国のプリズン・ビジター制度(刑務所訪問制度)等を参考に,昭和28年の法務事務次官通達「収容者に対する篤志家の面接指導基準について」により全国的な制度として確立し,以来年々活発となり,処遇に定着して,被収容者の社会復帰や再犯防止のために大きな役割を果たしている。62年には,全国篤志面接委員連盟が設立された。また,篤志面接委員制度のより一層の活発化を図るために,毎年,矯正管区単位の研究協議会及び施設単位の協議会が開催され,講演,協議,研究発表,事例研究等を内容とする積極的な研さん活動が行われている。

なお,刑事収容施設法においては,刑事施設の長は,受刑者の処遇を行うに当たり必要があるときは,民間の篤志家等に協力を求めるものとするとの規定が置かれ,社会との連携を通じてより充実した処遇を展開することを目指している。


イ 篤志面接委員の職業及び活動の概要

篤志面接活動の領域は,広範かつ多岐にわたることから,篤志面接委員の職業(過去の職業を含む。)も,小・中・高校教師,各種教授・大学教員,矯正職員,更生保護関係職員,その他公務員,医師,弁護士,団体役員,会社員,宗教家,芸術家,商店主,主婦等,多様である。また,保護司,教誨師,調停委員,民生委員等,他の公職に就いている人も多い。平成23年末現在の篤志面接委員数は,7-2-4-2表のとおりである。


7-2-4-2表 矯正施設における篤志面接委員数
7-2-4-2表 矯正施設における篤志面接委員数

篤志面接委員は,矯正施設を訪問して,個人面接あるいはグループ面接の形で活動している。活動内容は,被収容者からの精神的煩もんに対する面接指導(精神的な悩み,被害者に関すること,施設の他の被収容者や職員との対人関係等),家庭・職業等に関する相談(法律,保護,職業,宗教,健康,家庭,出所・出院後の生活の問題等),趣味・教養の指導(俳句,短歌,川柳,詩吟,読書,歌唱,楽器演奏,舞踊ダンス,絵画,手芸,囲碁将棋,演芸,陶芸,生け花,書道,珠算,簿記,パソコン,話し方,日本語,英語,手話,点字・点訳,体育,美容指導等),その他(断酒・断薬指導,座禅,内観等。なお,改善指導,教科指導,教科教育や,刑執行開始時の指導,釈放前指導の一部を受け持つこともある。)である。平成23年における篤志面接の実施回数は,7-2-4-3表のとおりである。


7-2-4-3表 矯正施設における篤志面接実施回数
7-2-4-3表 矯正施設における篤志面接実施回数

篤志面接委員による珠算指導
篤志面接委員による珠算指導

(2)教誨師

ア 制度・沿革

国の機関である矯正施設が宗教活動を行うことは,憲法上許されないが,被収容者の中には,信仰を持っている者や信仰を持とうとしている者も少なくない。そこで,これらの者に対して信教の自由を実質的に保障する観点から,できる限り便宜を図ることが必要となる。

教誨師は,信仰を有する者,宗教を求める者及び宗教的関心を有する者の宗教的欲求を充足し,宗教的自由を保障するための民間の篤志宗教家である。宗教教誨は,受刑者や少年院在院者がその希望する宗教の教義に従って,信仰心を培い徳性を養うとともに,心情の安定を図り,進んで更生の契機を得ることに役立たせようとするものである。無期その他長期刑の受刑者はもとより,短期刑の受刑者や少年院在院者に対しても,再犯防止のために大きな役割を果たしている(第2編第4章第3節3項(2)参照)。

宗教教誨は,明治5年,在監者の改過遷善のため,僧侶が獄舎で説教したのが始まりであり,14年の監獄則制定により宗教教誨が正式に制度化され,以降,日本国憲法制定までの間は,官吏の身分を有する教誨師が施設に常駐し,教化活動が盛んに行われた。戦後は,日本国憲法の厳格な政教分離主義により,特定の宗派の宗教家を国家公務員として採用できなくなったため,昭和22年に官制の教誨師が廃止された。23年には,民間からの教誨師のあっせんや刑事施設と宗教団体との連絡・調整を目的に,日本宗教連盟内に宗教教誨中央委員会・地方委員会が設置され,戦後の宗教教誨活動が開始された。その後,31年には,全国教誨師連盟が設立された。また,ブロック機関として,各矯正管区単位に,地方教誨師連盟がある。平成23年末現在の教誨師数は,7-2-4-4表のとおりである。


7-2-4-4表 矯正施設における教誨師数
7-2-4-4表 矯正施設における教誨師数

なお,刑事収容施設法では,被収容者が一人で行う礼拝その他の宗教上の行為の原則的な保障と,刑事施設の長に,被収容者が宗教上の儀式・行事に参加し,又は宗教教誨を受けることができる機会を設ける努力義務があることが明確に規定されている。


イ 活動の概要

(ア)宗教教誨

宗教教誨とは,特定の宗教教義に基づく感化の働き掛けを意味し,宗教家自身の全人格的感化による精神的救済をいう。個別の宗教の教義を学び,宗教儀礼を行い,信仰を深めていくことで,ものの考え方や日常生活の態度・行動に変化をもたらし,次第に調和の取れた健全な人格が形成されて心の安定が図られ,社会規範等が身に付き,社会復帰への大きな足がかりとなる。具体的には,各宗派の教誨師による定期的な個人的教化や,遭喪教誨・忌日教誨(親族等の訃報に接した際や,親族や被害者等の忌日において被収容者からの個人的依頼によりなされる読経,説話等)等である。

これらは,被収容者の個別的・自発的な希望により,個別に行われるもののほか,一人の教誨師により複数の被収容者に対して集団的に行われるものがある。


(イ)宗教上の儀式行事

宗教上の儀式行事とは,各宗派において特別の意味を有する特定の日に教誨師が主宰して行われる説教,礼拝等である。具体的には,彼岸会法要,盆会(春秋の彼岸,夏のお盆前後に仏教教誨を希望する者に対して行われる。),クリスマス会(12月25日前後にキリスト教教誨を希望する者に対して行われる。),大祓(1年中の罪やけがれを祓い清める神道の儀式で,6月,12月に神道教誨を希望する者に対して行われる。)等がある。

平成23年の宗教上の儀式行事・教誨の実施回数は,刑事施設では17,846回(集団に対して9,553回,個人に対して8,293回),少年院では2,841回(同1,443回,1,398回)であった(法務省矯正局の資料による。)。


宗教上の儀式行事(仏教)
宗教上の儀式行事(仏教)

(3)BBS会

BBS会は,非行のある少年や悩みを持つ子供たちに,兄や姉のような立場で接しながら,その立ち直りや成長を支援する活動等(BBS運動(Big Brothers and Sisters Movement))を行う青年のボランティア団体である(第2編第5章第5節3項参照)。

BBS運動の原型は,1904年に米国・ニューヨーク州の少年裁判所書記官が,非行少年たちの兄(big brother)として彼らの更生を助けようという趣旨で提唱したビッグ・ブラザーズ運動であると言われている。我が国のBBS運動は,昭和22年,戦後の混乱の中で浮浪児や孤児となった少年たちに心を痛めた京都の学生たちが,京都少年審判所(現在の京都家庭裁判所)の提唱により「京都少年保護学生連盟」を結成して始まった。その後,25年に全国組織として「全国BBS運動団体連絡協議会」が結成され,これが27年に「日本BBS連盟」に改称されて現在に至っており,発足以来65年目を迎えている。

平成20年以降におけるBBS会の会員数及び地区会数の推移は,7-2-4-5図のとおりである。


7-2-4-5図 BBS会の会員数・地区会数の推移
7-2-4-5図 BBS会の会員数・地区会数の推移

BBS運動は,友愛とボランティア精神を基礎とし,少年たちと同じ目の高さで共に考え学び合うことを理念とし,その実践活動は,ともだち活動,非行防止活動,自己研さんの三つから成る。このうち,ともだち活動は,非行少年や地域社会において問題を抱えた少年の「ともだち」になることを通して,彼らの立ち直りを支援する活動である。通常は,保護観察所,警察,家庭裁判所,児童相談所等から依頼を受け,対象となる少年をBBS会員が個別又は複数で担当して支援に当たるほか,グループワーク(BBS会員が集団でレクリエーション活動等を行うもの)の手法も取り入れている。また,保護観察所が行う社会貢献活動・社会参加活動(第3編第2章第5節2項(4)参照)に参加,協力している。

平成23年度中のともだち活動の実施件数は836件であり,BBS会員が社会貢献活動・社会参加活動に協力した人数は,それぞれ延べ55人・609人であった。また,保護観察所では新入会員を対象とした研修を実施しており,同年度中に全国で45回開催し,778人が受講した(法務省保護局の資料による。)。


事例1 学域BBS会がグループワークを実施している事例

千葉県内には,大学において組織されている「学域BBS会」が三つあるが,このうち,ある学域BBS会では,毎年,料理作り,餅つき大会のグループワークを企画・実施している。毎回の行事には,BBS会員約30人,保護観察中の少年が5〜10人のほか,保護観察所職員,当該少年の担当保護司,大学所在地の地域に住んでいる保護司及び更生保護女性会員も参加している。参加した少年たちは,BBS会員らと仲良く会話しながら,日常生活では余り経験したことがない作業に一生懸命取り組み,ある男子少年は「初めて料理をしたので難しかったですが,とても楽しい経験をしました。これからは,家でお母さんのお手伝いをしようと思いました。」と感想を述べていた。


グループワークの様子とシンボルマーク
グループワークの様子とシンボルマーク

(4)更生保護女性会

更生保護女性会は,地域の犯罪予防や青少年の健全育成,犯罪者・非行少年の改善更生に協力する女性ボランティアの団体であり(第2編第5章第5節3項参照),戦前から少年保護事業の支援活動を行っていた「少年保護婦人協会」を始め,全国各地に結成された少年少女の保護善導と不良化の防止を目的とした婦人団体が,その前身とされている。昭和24年に更生保護制度が発足してからは,保護観察所,保護司会の支援の下に,各地に地区単位の「更生保護婦人会」が組織された。そして,39年に「全国更生保護婦人協議会」が結成され,44年に「全国更生保護婦人連盟」に改称され,更に平成15年に「日本更生保護女性連盟」に改称されて現在に至っており,発足以来60余年が経過する。

平成20年以降における更生保護女性会の会員数及び地区会数の推移は,7-2-4-6図のとおりである。


7-2-4-6図 更生保護女性会の会員数・地区会数の推移
7-2-4-6図 更生保護女性会の会員数・地区会数の推移

更生保護女性会の活動としては,刑事施設や少年院が行う行事への参加協力,更生保護施設に入所中の者への更生支援,社会貢献活動・社会参加活動への参加協力等,犯罪者や非行少年を直接的に援助する活動のほか,家庭や非行問題に関する座談会を開催するなど地域住民を対象とした犯罪予防活動,子育て問題を取り上げたミニ集会の実施等の子育て支援活動等,女性の立場から幅広い活動を展開している。

平成23年度中に,更生保護女性会員が社会貢献活動・社会参加活動に協力した人数は,延べ6,979人であった。また,保護観察所では新入会員を対象とした研修を実施しており,同年度中に全国で93回開催し,4,718人が受講した(法務省保護局の資料による。)。


事例2 更生保護女性会による活動の事例

群馬県内の地区更生保護女性会では,毎年2回,県内の更生保護施設を訪問して「おふくろの味」という活動を行っている。更生保護施設に入所している者は,犯罪を起こしたために家族から見放されたり,家族とすぐには同居できない者が多いことから,更生保護女性会員が心を込めて作った食事を一緒にすることにより,母親が作ってくれた料理の味や家族の愛を思い出してもらうことを趣旨として行われている。ある男性入所者は「刑務所から出所して,久しぶりに家庭料理を食べました。自分のおふくろが作ってくれた料理の味と似ていて,涙が出ました。特別養護老人ホームに入っていて長く会っていない母の顔を見たいと思いました。」と感想を述べていた。

このほか,群馬県更生保護女性連盟では,県が推進する薬物乱用防止対策に協力して,夏休み前等に中学校を訪問し,「ダメ・ゼッタイ,覚せい剤・シンナー」等と書かれた会員手作りの「しおり人形」を生徒に配布したり,薬物乱用防止教室を開催するなどして,薬物乱用防止を呼び掛けている。


しおり人形と会員のバッジ
しおり人形と会員のバッジ

(5)その他の協力者

矯正施設や保護観察所においては,これまで述べてきた以外にも,次のとおり,多くの民間協力者の協力を得て運営されており,民間協力者の活動は,被収容者や保護観察対象者の改善更生及び社会復帰に大きな役割を果たしている。


ア 作業,職業補導関係

刑事施設においては,職業訓練(第1節1項(1)ア参照)のみならず,一般の作業の実施場面においても,民間の作業提供企業の作業指導員(技術指導者)に,作業実施上必要な専門的知識・技術や労働安全衛生等の指導を受けている。少年院における職業補導も,外部講師の協力を得て実施している。

また,刑事施設の職業訓練や少年院の院外委嘱職業補導における応用実習等では,民間の施設等の協力を得て,実習を行っている。例えば,刑事施設における職業訓練ホームヘルパー科では,民間の介護施設等を実習先としている。

さらに,外部通勤作業(第2編第4章第2節2項(2)参照)においては,部外者である外部事業主の協力が前提とされ,その協力の下に実施している。


イ 医療,福祉関係

(ア)医師等

矯正施設においては,被収容者に適切な保健衛生上及び医療上の措置を講じる責務があり,医師や医療スタッフが配置されているが,被収容者の高齢化,疾病の多様化,医療技術の高度化,医師の確保の困難さ等から,施設での対応が困難な場合は,外部の専門医による診察を受けたり,外部の医療機関に移送して治療するなどの援助を受けている。また,身体又は精神に障害があり基本的生活動作ができない被収容者に対する援助等を行うため,介護福祉士及び作業療法士が,非常勤職員として一部施設に配置されている。


(イ)精神保健福祉士,社会福祉士

再犯防止施策の一環として,疾病や障害により,自立した生活を営むことが困難な受刑者や少年院在院者に対して,出所又は出院後,円滑な福祉サービスにつなげる業務の充実を図るため,精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)に定める資格を有する「精神保健福祉士」が平成16年度から,社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)に定める資格を有する「社会福祉士」が19年度から矯正施設に配置され,順次拡大してきている(7-2-4-7表参照)。


7-2-4-7表 精神保健福祉士・社会福祉士の配置施設数
7-2-4-7表 精神保健福祉士・社会福祉士の配置施設数

具体的には,精神保健福祉士は,<1>特別調整に関する業務,<2>精神障害を有する者の社会復帰に関する相談に応じ,助言,指導,日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助に関する業務を,社会福祉士は,<1>特別調整に関する業務,<2>身体上・精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ,助言,指導,福祉サービス提供者又は医師その他の関係者との連絡,調整その他の援助に関する業務を行っている。


ウ その他

(ア)教育・奉仕活動等

刑事施設における改善指導,教科指導,クラブ活動等の指導や,少年院における教科教育,クラブ活動等の特別活動等の指導については,それぞれの専門的知識を持った多様な民間協力者からの協力を得て実施している。

また,被収容者の教育の一環として実施している各種奉仕活動においては,例えば,老人ホームにおける清掃作業や入居者とのレクリエーションなど,民間の施設等から場所と機会の提供を受けたり,民間の奉仕活動団体から,例えば,自転車の修繕等の奉仕活動において,材料の提供を受けるなどの協力を得て,実施している。


(イ)慰問行事,講演等

矯正施設においては,被収容者に対する教育又はレクリエーションとして,慰問行事や講演会等を実施しているが,例えば,音楽会等における歌手や音楽家の歌唱・演奏や,各種講演会におけるスポーツ選手等による講演等,民間の人々の協力を得ている。


(ウ)地元自治会等

矯正施設において実施している被収容者の盆踊りや運動会では,地域の婦人会や地元の幼稚園に参加してもらい,被収容者の情操教育の内容を豊富なものとしている。

また,特色のある教育プログラムとして,受刑者と地域の住民とが手紙を交わす「文通プログラム」(地域住民の協力の下,受刑者に社会とつながっている感覚,喜びを体験させることで矯正効果を得る。)を実施しているPFI施設がある。


(エ)少年友の会

家庭裁判所では,家事審判官(裁判官)と共に家事調停を担当する家事調停委員を民間人の中から任命しているが,「少年友の会」は,その家事調停委員を中心に,家庭裁判所における少年保護の活動を援助する目的で設立されたボランティア団体である。少年友の会は,付添人活動を実施しており,同会の付添人は,少年鑑別所に出向いて少年と面接し,心情の安定を図るとともに,非行の背景事情を把握するなどしている。


(オ)その他

近年では,国が実施する施策に対する協力にとどまらず,更生した少年院出院者が他の少年院出院者の更生を支援する当事者による活動や,更生保護施設入所者に対する医療等の支援活動など,新しい民間独自の活動も起こりつつある。


事例3 社会福祉法人恩賜財団済生会による取組

全国で医療・福祉事業を展開している社会福祉法人恩賜財団済生会では,3か年計画の「済生会生活困窮者支援なでしこプラン2010」を策定し,これに基づき,更生保護施設入所者に対して医療等の支援を行っている。

同会は,従来から,生活保護を受けていたり生計が困窮している患者のために,無料又は低額で診療等を行う「無料低額診療事業」を行っており,同プランは,同会が経営する医療機関のうち人的体制等から支援が可能な病院・診療所において,ホームレス,在留外国人等,生活困窮者全般に対して行われている。3か年計画の2年目に当たる平成23年度には,刑務所出所者等に対して,53の医療機関が保護観察所及び更生保護施設と連携し,更生保護施設を訪問したり,医療施設内で診療や健康診断を行うほか,8の医療機関が収容中の受刑者に対して診療を行っている。医療の内容や費用負担等の具体的な支援方法は,各医療機関の体制等によって異なるため,それぞれの地域の保護観察所と医療機関との個別協議によって決められているが,実際の例では,定期的に医師や看護師等が更生保護施設に出向いて,無料の健康相談と無料又は低額で診療事業を行うことが多いようである。

このほか,同会では,自立更生促進センター(第2節2項(2)及び第2編第5章第2節2項(7)参照)に入所している者を対象として医療等の支援を行っているもの,県の委託を受けて地域生活定着支援センター(第2節2項(4)参照)を運営しているものなど,地域によって特徴的な取組が見られる。