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VII-12図は,最近10年間における保護観察新規受理人員中の暴力組織関係者([1]現に暴力組織の幹部,組員又は準構成員である者,及び[2]過去に[1]に該当した者で,保護観察開始時においても暴力組織と完全に絶縁しているとは認められないものをいう。以下,本節において同じ。)数の推移を見たものである。
VII-12図 暴力組織関係保護観察対象者新規受理人員の推移 VII-3表は,平成11年の保護観察新規受理人員に占める暴力組織関係者の比率を示したものである。また,最近10年間における保護観察新規受理人員(巻末資料II-12参照)に占める暴力組織関係者の比率の推移は,VII-13図のとおりである。VII-3表 保護観察新規受理人員に占める暴力組織関係者の比率 VII-13図 保護観察新規受理人員に占める暴力組織関係者の比率の推移 最近5年間の状況を見ると,保護観察処分少年については,新規受理人員が,平成7年から一貫して増加しているが,各年における暴力組織関係者の占める比率は,7年は0.9%(166人),8年は0.8%(169人),9年は0.6%(139人),10年は0.6%(148人),11年は0.6%(149人)とおおむね横ばいを示している。また,少年院仮退院者については,新規受理人員が,平成8年を除いて,相当な増加を示しているが,各年における暴力組織関係者の占める比率を見ると,7年は6.9%(261人),8年は6.1%(228人),9年は5.2%(218人),10年は4.5%(215人),11年は4.4%(230人)と,低下傾向にある。 一方,仮出獄者については新規受理人員が,一貫して増加しているが,各年の暴力組織関係者の占める比率については,平成7年は15.1%(1,838人),8年は13.7%(1,682人),9年は13.3%(1,712人),10年は12.6%(1,636人),11年は12.4%(1,648人)と,低下傾向にある。 また,保護観察付き執行猶予者について見ると,新規受理人員は,増加傾向にあるが,各年の暴力組織関係者の占める比率は,平成7年は10.3%(499人),8年は9.1%(448人),9年は8.7%(436人),10年は7.9%(418人),11年は8.1%(423人)と,低下傾向にある。 暴力組織関係者に対しては,保護観察類型別処遇(第2編第5章第3節参照)を実施して,処遇の指針を参考に処遇計画を策定し,社会復帰への働き掛けを行っている。暴力組織関係者に対する処遇指針のうち,主要な事項は,次のとおりである。 [1] 警察等関係機関の協力を得るなどして,生活状況,特に暴力組織との具体的な関係,組織の動向等の実態把握に努める。 [2] 交遊関係の調整,転居等による環境の改善を図るなどして,本人に対し,組織からの離脱を働き掛ける。 [3] 組織加入の動機,その背景,組織における本人の地位,家庭環境,離脱の難易等を踏まえ,警察等関係機関の協力を求めるなどして,本人の離脱について組織に働き掛ける。 [4] 組織からの離脱のために,家族や警察等関係機関に対し,保護観察への理解,協力を求める。 [5] 地道な職業への就労指導を行う。 [6] 矯正施設収容中の者については,その環境調整の段階から組織離脱の調整に努める。 [7] 同一組織に属する複数の保護観察対象者がある場合には,関係保護司相互間の連携を密にする。 保護観察所では,暴力組織から離脱する意思のある者については,公共職業安定所,警察及び暴力団対策法の施行後に指定された都道府県暴力追放運動推進センター(以下,本節において「センター」という。)などと緊密に連絡を取り合い,就職指導や就職先の確保等に努めている。 他方,保護観察所においては,[1]警察及びセンターとの連絡窓口を定め,円滑な協力関係が保たれるよう配慮するとともに,[2]各都道府県の実情に応じ,暴力組織関係者の社会復帰対策に関して具体的な協力及び連絡を円滑に行うため,警察及びセンターと連絡協議会を開催するなど,必要な連絡・協議の場を設けることなど,その協力関係の充実及び強化に努めている。また,センターの暴力追放相談員として,保護司が委嘱されている例が少なくない(法務省保護局の資料による。)。 |