検察・警察・児童相談所では、児童が被害者又は参考人である事件について、その代表者が児童から聴取を実施する取組(代表者聴取)を行っており、その聴取に当たっては、いわゆる司法面接的手法を活用している(本編第3章第1節2項参照)。そして、検察・警察では、令和3年4月から、知的障害等の精神に障害を有する被害者に係る性犯罪事件においても、司法面接的手法を用いた代表者聴取を試行している(本編第3章第1節3項参照)。知的障害等の精神に障害を有する被害者については、児童と同様に、暗示や誘導の影響を受けたり、迎合したりしやすいことがあり、また、コミュニケーションが困難であったりすることがあるため、事件に関する事情聴取を行うに当たっては、誘導や暗示を避けつつ、精神的な負担も少ない司法面接的手法が適しており、児童に対する場合と同様に、司法面接的手法を用いた代表者聴取が取り入れられている。
司法面接的手法による取調べの実施状況について、その構成比を調査対象被害者の群別に見ると、7-5-2-13図のとおりである。精神障害あり群の44.3%、精神障害なし群(18歳未満の者に限る。)の39.9%において、司法面接的手法による取調べが行われていた。実施までの期間別に見ると、精神障害あり群及び精神障害なし群(18歳未満の者に限る。)のいずれにおいても、「犯行発覚から1か月以内に実施」の構成比が最も高く、次いで、「犯行発覚から1週間以内に実施」、「犯行発覚から1か月以上後に実施」の順であった。
なお、精神に障害を有する性犯罪被害者を対象とした代表者聴取は、令和3年4月から東京地方検察庁等の一部の検察庁において試行が開始され、4年7月から全ての検察庁において試行が拡大されているところ(本編第3章第1節3項参照)、本特別調査の精神障害あり群については、これら試行開始・拡大以前の事件が調査対象事件として多数含まれていること及び「司法面接的手法による取調べなし」に該当した者には、そもそも精神障害の影響により供述困難なため取調べが実施されていないケースも多く含まれていることに留意が必要である。
司法面接的手法による取調べの実施の有無を年齢別に見ると、7-5-2-14図のとおりである。精神障害あり群(40歳未満の者に限る。)では、5歳から33歳までの幅広い年齢の被害者に対し、同手法による取調べが実施されていた。なお、40歳代では2人、50歳代では3人に対して実施されており、60歳以上では実施されていなかった。精神障害なし群(18歳未満の者に限る。)では、2歳及び17歳では同手法による取調べが実施されていなかったが、その他の年齢の被害者では同手法による取調べが実施されており、最年少は4歳、最年長は16歳であった。また、精神障害なし群(18歳未満の者に限る。)では、「司法面接的手法による取調べあり」は、被害者全体では約4割であったところ、6歳から9歳までについてはそれぞれ7割前後で、他の年齢よりも高かった。