法務省は、厚生労働省と連携し、受刑者等の出所時における就労の確保に向けた取組として、刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施している。(第2編第4章第3節4項(1)参照)。また、受刑者の刑執行開始時における指導の時点から、当該受刑者に対し、出所後の就労に向けた準備について意識付けを行うために、就労支援希望についてのアンケートを実施するなど、様々な機会を通じて就労支援の周知に取り組んでいる。加えて、日本財団職親プロジェクト(第2編第4章第3節4項(1)参照)が、矯正施設内において「仕事フォーラム」を実施し、職親企業の経営者による職業講話などを行っているほか、職親企業による職業訓練の指導等も行っている。これらの就労支援は、女性刑事施設においても行われている。
そのほかにも、刑事施設では、就労意欲を喚起するとともに、職場の人間関係に適応するのに必要な心構え及び行動様式を身に付けさせることを目的として、特別改善指導としての就労準備指導(令和5年11月以前は就労支援指導)を実施している。就労準備指導の対象者は、<1>稼働能力を有し、<2>円滑な社会復帰のために就労することが必要であり、<3>同指導を受講することにより、就労意欲の喚起が期待できる者で、かつ<4>就労に関する知識及び経験の不足等により、就労習慣が身に付いておらず、<5>具体的な就労予定及びその見込みがなく、<6>釈放の見込み日までの期間がおおむね6か月以上の者であり、同指導は、グループワーク、講義、ゲストスピーカーによる講話等を組み合わせて実施される。
7-4-1-2図は、就労準備指導が必要と判定された人員等の推移を男女別に見たものである。各年の出所受刑者のうち、矯正処遇の判定を受けた人員に占める就労準備指導が必要と判定された人員の比率を見ると、ほぼ一貫して女性が男性を上回っており、就労準備指導を必要とする女性受刑者が多いことがうかがえる。
法務省は、厚生労働省と連携し、高齢又は障害を有し、かつ、適当な帰住先がない受刑者について、釈放後速やかに適切な介護、医療、年金等の福祉サービス等を受けることができるようにするための取組として、特別調整を実施している。(第2編第4章第3節4項(2)、同編第5章第2節2項及びコラム9参照)。法務総合研究所が令和5年6月に実施した栃木県地域生活定着支援センターの職員からの聞き取り調査によると、特別調整の対象となる女性受刑者は、高齢者、再犯者、窃盗事犯者が多いという特徴が見られ、家族がいる者や自宅がある者も多いが、犯罪を繰り返す中で引受けを拒否されるようになったケースも多いという。