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令和4年版 犯罪白書 第8編/第4章/第5節/1

1 周囲の環境に対する意識

家庭生活に対する満足度を調査年別に見ると、8-4-5-1図のとおりである。「満足」の構成比は、平成10年調査以降一貫して上昇しており、今回の調査では、8割近くに達した。「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比は、いずれも一貫して低下した。

8-4-5-1図 少年鑑別所入所者 家庭生活に対する満足度(調査年別)
8-4-5-1図 少年鑑別所入所者 家庭生活に対する満足度(調査年別)
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家庭生活を「不満」とする者の主要な理由(*)についての該当率を見ると、「家庭に収入が少ない」の該当率は、平成10年調査以降上昇し、23年調査(以下この節において「前回の調査」という。)では47.0%であったが、今回の調査では11.1%に低下した。一方、「親が自分を理解してくれない」は、10年調査以降低下し続け、前回の調査では42.2%であったが、今回の調査では55.6%に上昇した。


* 本章第2節1項の*1の選択肢から、「配偶者の愛情が足りない」、「配偶者が自分を理解してくれない」、「子供がなつかない」、「子供がいうことを聞かない」及び「同居者との関係がよくない」、「家族と同居したい」を除いた選択肢について、前回までの調査との比較を行った。


友人関係に対する満足度を調査年別に見ると、8-4-5-2図のとおりである。「満足」の構成比は、平成10年調査以降一貫して上昇しており、今回の調査では8割を超えた。

8-4-5-2図 少年鑑別所入所者 友人関係に対する満足度(調査年別)
8-4-5-2図 少年鑑別所入所者 友人関係に対する満足度(調査年別)
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友人関係を「不満」とする者の主要な理由(本章第2節1項の*2参照)についての該当率を見ると、今回の調査では、「気の合う友達がいない」が最も高かった(54.5%。前回の調査から10.3pt上昇)。一方、前回の調査で最も高かった「お互いに心を打ち明け合うことができない」(55.8%)は、今回の調査では27.3%に半減した。


対象者が日常的に接している家族や友達等を含む周囲の人々をどのように評価しているかなど周囲の人々との関係を見るため、「悩みを打ち明けられる人」の該当率を調査年別に見ると、8-4-5-3図のとおりである。前回の調査から「ネット上の友達・知り合い」の項目が新設されたこと、今回の調査では、「近所の人」の項目が削除され、「子」の項目が新設されたことに留意を要するが、今回の調査においても、上位3項目は、前回までの調査と同じであり、「同性の友達」(67.4%)が最も高く、次いで、「異性の友達・恋人・配偶者」(63.0%)、「母親」(50.5%)の順であった。また、「父親」、「祖父母」及び「親戚の人」の該当率は、いずれも上昇傾向が見られた。

8-4-5-3図 少年鑑別所入所者 悩みを打ち明けられる人(調査年別)
8-4-5-3図 少年鑑別所入所者 悩みを打ち明けられる人(調査年別)
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対象者の学校生活に対する意識を見るため、「学校に行くのがいやだった」及び「同級生から理解されていた」の項目について、「あてはまる」及び「あてはまらない」の構成比を調査年別に見ると、8-4-5-4図のとおりである。いずれの調査年においても、「学校に行くのがいやだった」は、「あてはまる」が半数近くを占め、「同級生から理解されていた」は、「あてはまる」が7割を超えた。

8-4-5-4図 少年鑑別所入所者 学校生活に対する意識(調査年別)
8-4-5-4図 少年鑑別所入所者 学校生活に対する意識(調査年別)
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対象者の就労に対する意識を見るため、「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」及び「仕事について夢や目標を持っている」の項目について、「そう思う」及び「そう思わない」の構成比を調査年別に見ると、8-4-5-5図のとおりである。「仕事について夢や目標を持っている」は、「そう思う」の構成比が前回の調査及び今回の調査共に8割を超える水準を維持している一方、「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」は、「そう思う」の構成比が、前回の調査(37.6%)より上昇し、今回の調査では45.6%であった。

8-4-5-5図 少年鑑別所入所者 就労に対する意識(調査年別)
8-4-5-5図 少年鑑別所入所者 就労に対する意識(調査年別)
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対象者の地域社会に対する意識を見るため、「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」及び「地域の人は、困ったときに力になってくれる」の項目について、「あてはまる」及び「あてはまらない」の構成比を調査年別に見ると、8-4-5-6図のとおりである。「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」は、今回の調査(74.3%)においても、「あてはまる」の構成比が7割を超えたものの、前回の調査(78.4%)に比べてやや低下した。一方、「地域の人は、困ったときに力になってくれる」は、「あてはまる」の構成比が、前回の調査(38.0%)より上昇し、今回の調査では48.9%であった。

8-4-5-6図 少年鑑別所入所者 地域社会に対する意識(調査年別)
8-4-5-6図 少年鑑別所入所者 地域社会に対する意識(調査年別)
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社会に対する満足度を調査年別に見ると、8-4-5-7図のとおりである。平成10年調査では「満足」の構成比が低下し、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも上昇したが、その後の調査においては、「満足」の構成比が一貫して上昇し(今回の調査では42.9%)、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも一貫して低下した。

8-4-5-7図 少年鑑別所入所者 社会に対する満足度(調査年別)
8-4-5-7図 少年鑑別所入所者 社会に対する満足度(調査年別)
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社会を「不満」とする者の主要な理由(本章2節1項の*3参照)についての該当率を見ると、今回の調査では、「若者の意見が反映されない」及び「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」の該当率(それぞれ55.9%)が最も高かったが、前回の調査と比べると、「若者の意見が反映されない」を除く全ての項目で該当率が低下した。