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令和4年版 犯罪白書 第8編/第4章/第2節/1

1 周囲の環境に対する意識

家庭生活に対する満足度を対象者の年齢層別に見ると、8-4-2-1図のとおりである。対象者全体では、「満足」(「満足」及び「やや満足」の合計。以下この章において同じ。)の構成比が60.5%であったが、若年層の満足度が高い傾向が見られ、中間少年(83.1%)が最も高く、65歳以上の者(48.1%)が最も低かった。「不満」(「不満」及び「やや不満」の合計。以下この章において同じ。)の構成比は、50~64歳の者(18.4%)が最も高く、次いで、30歳代の者(16.6%)、65歳以上の者(12.3%)の順であった。

8-4-2-1図 全対象者 家庭生活に対する満足度(年齢層別)
8-4-2-1図 全対象者 家庭生活に対する満足度(年齢層別)
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家庭生活を「不満」とする者の主要な理由(*1)についての該当率(重複計上による。以下この章において同じ。)を見ると、対象者全体では、「家庭に収入が少ない」(39.9%)が最も高く、次いで、「親が自分を理解してくれない」(22.1%)、「家庭内に争いごとがある」(20.9%)の順であった。年齢層別に見ると、「家庭に収入が少ない」の該当率は、30歳以上の年齢層において高い傾向が見られた一方、「親が自分を理解してくれない」及び「家庭内に争いごとがある」の該当率は、20歳代以下の年齢層において高い傾向が見られた。


*1 次の選択肢から不満の理由を複数回答させた。

「家庭に収入が少ない」、「家庭内に争いごとがある」、「親の愛情が足りない」、「親が自分を理解してくれない」、「配偶者(内縁関係、事実婚のパートナーを含む。以下この章において同じ。)の愛情が足りない」、「配偶者が自分を理解してくれない」、「子供(内縁関係、事実婚のパートナーの子供を含む。以下この章において同じ。)がなつかない」、「子供がいうことを聞かない」、「同居者との関係がよくない」、「家族と同居したい」、「兄弟姉妹と気が合わない」、「家の周囲の環境が悪い」、「家が狭すぎる」、「ただなんとなく」及び「その他」


友人関係に対する満足度を対象者の年齢層別に見ると、8-4-2-2図のとおりである。対象者全体では、「満足」の構成比が58.1%であったが、若年層の満足度が高い傾向が見られ、年少少年(88.1%)が最も高かった。「不満」の構成比は、50~64歳の者(12.9%)が最も高く、次いで、30歳代の者(10.6%)、40歳代の者(10.2%)の順であった。

8-4-2-2図 全対象者 友人関係に対する満足度(年齢層別)
8-4-2-2図 全対象者 友人関係に対する満足度(年齢層別)
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友人関係を「不満」とする者の主要な理由(*2)についての該当率を見ると、対象者全体では、「気の合う友達がいない」(61.8%)が最も高く、次いで、「お互いに心を打ち明けあうことができない」(44.7%)、「好きでもないのにつき合わなければならない」(18.7%)の順であった。少年と20歳以上の者を比べると、少年の該当率は、いずれの項目においても20歳以上の者より低かった。


*2 次の選択肢から不満の理由を複数回答させた。

「気の合う友達がいない」、「お互いに心を打ち明け合うことができない」、「自分よりも他の人と仲良くする」、「仲間はずれにされる」、「自分のすることに口出ししてくる」、「グループの中のまとまりが悪い」、「自分のことを分かってくれない」、「自分のいうことが通らない」、「つき合っていても張り合いがなく自分が向上しない」、「自分に冷たい」、「好きでもないのにつき合わなければならない」及び「その他」


対象者が日常的に接している家族や友達等を含む周囲の人々をどのように評価しているかなど周囲の人々との関係を見るため、「悩みを打ち明けられる人」の該当率を年齢層別に見ると、8-4-2-3図のとおりである。対象者全体では、同性の友達(46.5%)の該当率が最も高く、次いで、母親(32.1%)、兄弟姉妹(19.6%)の順であった。各項目につき、少年と20歳以上の者を比べると、少年は、「配偶者」、「子」、「誰もいない」及び「その他」以外の項目の該当率が、20歳以上の者よりも高かった。また、「誰もいない」の該当率を見ると、年長少年が最も低く(4.0%)、65歳以上の者(21.2%)が最も高かった(CD-ROM参照)。

8-4-2-3図 全対象者 悩みを打ち明けられる人(年齢層別)
8-4-2-3図 全対象者 悩みを打ち明けられる人(年齢層別)
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対象者の学校生活(原則として、高校生活。ただし、高校に入ったことのない者については中学校生活。以下この章において同じ。)に対する意識を見るため、「学校に行くのがいやだった」及び「同級生から理解されていた」の項目について、「あてはまる」(「とてもあてはまる」及び「ややあてはまる」の合計。以下この章において同じ。)及び「あてはまらない」(「あまりあてはまらない」及び「まったくあてはまらない」の合計。以下この章において同じ。)の構成比を年齢層別に見ると、8-4-2-4図のとおりである。「学校に行くのがいやだった」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では44.7%であった。年齢層別では、30歳代の者(54.9%)が最も高く、65歳以上の者(27.5%)が最も低かった。「同級生から理解されていた」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では64.4%であり、少年は、20歳以上の年齢層に比べ「あてはまる」の構成比が高く、最も高い年長少年は79.2%であった。

8-4-2-4図 全対象者 学校生活に対する意識(年齢層別)
8-4-2-4図 全対象者 学校生活に対する意識(年齢層別)
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対象者の就労に対する意識を見るため、「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」及び「仕事について夢や目標を持っている」の項目について、「そう思う」(「とてもそう思う」及び「どちらかといえばそう思う」の合計。以下この章において同じ。)及び「そう思わない」(「どちらかといえばそう思わない」及び「ぜんぜんそう思わない」の合計。以下この章において同じ。)の構成比を年齢層別に見ると、8-4-2-5図のとおりである。「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」の項目について「そう思う」に該当する者の構成比は、対象者全体では43.3%であったが、若年層において構成比が高い傾向が見られ、20歳代の者(50.3%)が最も高かった。「仕事について夢や目標を持っている」の項目について「そう思う」に該当する者の構成比は、対象者全体では74.8%であった。中間少年(80.2%)が最も高く、次いで、20歳代の者(79.4%)、65歳以上の者(78.8%)の順であった。

8-4-2-5図 全対象者 就労に対する意識(年齢層別)
8-4-2-5図 全対象者 就労に対する意識(年齢層別)
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対象者の地域社会に対する意識を見るため、「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」及び「地域の人は、困ったときに力になってくれる」の項目について、「あてはまる」及び「あてはまらない」の構成比を年齢層別に見ると、8-4-2-6図のとおりである。「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では54.2%であったが、少年において構成比が高い傾向が見られ、中間少年(71.7%)が最も高く、50~64歳の者(36.1%)が最も低かった。「地域の人は、困ったときに力になってくれる」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では36.5%であり、65歳以上の者(53.7%)が最も高く、30歳代の者(20.7%)が最も低かった。

8-4-2-6図 全対象者 地域社会に対する意識(年齢層別)
8-4-2-6図 全対象者 地域社会に対する意識(年齢層別)
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社会に対する満足度を対象者の年齢層別に見ると、8-4-2-7図のとおりである。対象者全体では、「満足」の構成比が30.5%であったが、少年の満足度が高い傾向が見られ、年長少年(48.4%)が最も高く、30歳代の者(15.9%)が最も低かった。「不満」の構成比は、50~64歳の者(23.8%)が最も高く、次いで、30歳代の者(21.5%)、年少少年(19.4%)の順であった。

8-4-2-7図 全対象者 社会に対する満足度(年齢層別)
8-4-2-7図 全対象者 社会に対する満足度(年齢層別)
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社会を「不満」とする者の主要な理由(*3)についての該当率を見ると、対象者全体では、「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」(54.7%)が最も高く、次いで、「正しいと思うことが通らない」(41.3%)、「まじめな人がむくわれない」(40.9%)の順であった。年齢層別に見ると、「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」の該当率は30歳代の者(78.3%)が、「正しいと思うことが通らない」の該当率は50~64歳の者(50.0%)が、「まじめな人がむくわれない」は30歳代の者(52.2%)が、それぞれ最も高かった。


*3 次の選択肢から不満の理由を複数回答させた。

「社会のしくみがきまりきっている」、「自分と同世代の意見が反映されない」(非行少年の調査票では、「若者の意見が反映されない」)、「正しいと思うことが通らない」、「国民の意見がまとまっていない」、「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」、「まじめな人がむくわれない」、「人々の考え方や行動が乱れている」及び「その他」