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令和4年版 犯罪白書 第8編/第3章/第4節/3

3 保護観察対象者の特徴
(1)罪名・非行名

8-3-4-4図は、保護観察開始人員について、犯罪・非行類型別構成比の推移(平成14年以降。28年以降は一部執行猶予者の人員を含む。)を見たものである。保護観察処分少年は、令和2年までは窃盗事犯類型の構成比が、3年は交通事犯類型の構成比が、それぞれ最も高い。少年院仮退院者、仮釈放者(全部実刑者)及び保護観察付全部執行猶予者は、一貫して窃盗事犯類型の構成比が最も高い。他方、仮釈放者(一部執行猶予者)及び保護観察付一部執行猶予者は、薬物事犯類型の構成比が最も高い(3年は、それぞれ95.0%、95.3%)。

8-3-4-4図 保護観察開始人員の犯罪・非行類型別構成比の推移
8-3-4-4図 保護観察開始人員の犯罪・非行類型別構成比の推移
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(2)居住状況

8-3-4-5図は、令和3年における保護観察開始人員について、保護観察開始時の居住状況別構成比を年齢層別に見たものである。保護観察処分少年及び少年院仮退院者は、いずれも年齢層が上がるにつれて、親との同居(「両親と同居」、「母と同居」及び「父と同居」の合計)の構成比が低くなり、年長少年では、それぞれ80.1%、75.9%であった。仮釈放者(一部執行猶予者)及び保護観察付一部執行猶予者は、年齢層が上がるにつれて、「更生保護施設」の構成比が高くなっている。65歳以上の者について見ると、仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)は約4割が、保護観察付一部執行猶予者は約3割が、「更生保護施設」であるのに対し、保護観察付全部執行猶予者は、「更生保護施設」が3.0%にとどまった。

8-3-4-5図 保護観察開始人員の居住状況別構成比(年齢層別)
8-3-4-5図 保護観察開始人員の居住状況別構成比(年齢層別)
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(3)保護観察終了人員

8-3-4-6図は、令和3年における保護観察終了人員について、終了事由(第2編第5章第3節3項及び第3編第2章第5節4項参照)別構成比を年齢層別に見たものである。保護観察処分少年は、いずれの年齢層においても「解除」の構成比が最も高い。少年院仮退院者は、18歳以上では「期間満了」の構成比が最も高く、特に、20歳以上では全員が期間満了で保護観察を終えている。仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)並びに保護観察付全部・一部執行猶予者は、いずれの年齢層においても期間満了の構成比が最も高い。

8-3-4-6図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(年齢層別)
8-3-4-6図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(年齢層別)
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8-3-4-7図は、令和3年における保護観察終了人員について、終了事由別構成比を犯罪・非行類型別に見たものである。いずれの犯罪・非行類型においても、保護観察処分少年では「解除」の構成比が、少年院仮退院者、仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)並びに保護観察付全部・一部執行猶予者では「期間満了」の構成比が、それぞれ最も高い。保護観察付全部・一部執行猶予者において、「刑の執行猶予の取消し」により終了した者の構成比は、窃盗事犯類型(29.3%)が最も高く、次いで、薬物事犯類型(26.9%)の順であった。

8-3-4-7図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(犯罪・非行類型別)
8-3-4-7図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(犯罪・非行類型別)
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8-3-4-8図は、令和3年における仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)並びに保護観察付全部・一部執行猶予者の保護観察終了人員について、終了事由別構成比を保護観察終了時の就労状況別に見たものである。仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)は、いずれも保護観察終了時に有職である者の98%以上が期間満了で保護観察を終了しているのに対し、無職である者は、いずれも9割台前半にとどまった。保護観察付全部・一部執行猶予者は、いずれも有職である者と比べて無職である者の刑の執行猶予の取消しの構成比が高く、それぞれ38.2%、43.7%であった。

8-3-4-8図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(終了時の就労状況別)
8-3-4-8図 保護観察終了人員の終了事由別構成比(終了時の就労状況別)
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令和3年における保護観察の開始時及び終了時の就学・就労状況を見ると、8-3-4-9図のとおりである。保護観察開始人員と終了人員は、その対象が同一でないことに留意する必要があるが、いずれにおいても、有職であった者の構成比は、開始時よりも終了時の方が高い。

8-3-4-9図 保護観察開始時・終了時の就学・就労状況別構成比
8-3-4-9図 保護観察開始時・終了時の就学・就労状況別構成比
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(4)保護観察開始人員中の有前科者

8-3-4-10図は、平成24年から令和3年までの間に保護観察を開始した仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)並びに保護観察付全部・一部執行猶予者について、犯罪類型別に、有前科者(今回の保護観察に係る処分を除き、保護観察開始前に罰金以上の刑に処せられたことがある者をいう。以下この項において同じ。)と前科のない者を別にしつつ、保護観察開始人員の推移を見るとともに、有前科者率(保護観察開始人員に占める有前科者の人員の比率をいう。以下この項において同じ。)の推移を見たものである(各犯罪類型における仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)並びに保護観察付全部・一部執行猶予者の総数については、CD-ROM参照)。仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)は、窃盗事犯類型及び薬物事犯類型の有前科者率が一貫して9割を超える高い水準で推移している。一方、重大事犯類型の有前科者率は、仮釈放者(全部実刑者及び一部執行猶予者)ではおおむね4割前後で、保護観察付全部・一部執行猶予者ではおおむね2割前後の水準で推移しており、いずれも犯罪類型別で最も低い。

8-3-4-10図 保護観察開始人員(前科の有無別)・有前科者率の推移(犯罪類型別)
8-3-4-10図 保護観察開始人員(前科の有無別)・有前科者率の推移(犯罪類型別)
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