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令和4年版 犯罪白書 第7編/第3章/第3節/2

2 サイバー犯罪

サイバー犯罪の検挙件数は、近年増加し続けているところ(第4編第5章第1節参照)、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による経済の不安定化などにより、直接的に金銭を求めるサイバー攻撃も増加している。特に最近国内でも被害が急増しているランサムウェアは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価として金銭を要求する不正プログラムである。7-3-3-2図は、令和2年下半期以降における企業・団体等におけるランサムウェア被害の報告件数の推移を見たものである。2年下半期には21件であった報告件数が、3年下半期には85件と前年同期の約4倍に増加した。元年には20.2%であったテレワーク導入企業の割合は、同感染症の感染拡大の影響もあり、2年には47.5%、3年には51.9%と急激に上昇したことから(総務省情報流通行政局の資料による。)、テレワークを実現するためのVPN機器の脆弱性が悪用され、ランサムウェア被害の増加につながった可能性がある。一方で、ランサムウェア被害の増加の要因としては、テレワークの増加以外にも、企業のグローバル化に伴う海外拠点ネットワークの脆弱性の悪用や攻撃手法の高度化・巧妙化・組織化が進んだことなども挙げられていることに留意が必要である。

7-3-3-2図 企業・団体等におけるランサムウェア被害の報告件数
7-3-3-2図 企業・団体等におけるランサムウェア被害の報告件数
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