特殊詐欺は、給付金の支給等を始めとした種々の支援策やワクチンの接種に関連し、行政機関の職員等になりすまして現金等をだまし取ろうとする手口が報告されるなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が認知件数を押し上げる方向に作用した可能性がある一方で、人流の減少が犯行を抑制する方向に作用した可能性もある。そこで、平成30年以降における月別の認知件数の推移を見ると、7-3-3-1図のとおりである。令和2年及び3年の月別の認知件数は、元年の同月の認知件数よりも少なかった(同感染症の感染拡大前の2年1月を除く。)。2年の認知件数は、全体で前年より19.6%減少したところ、月別に見ると、全国47都道府県の主要駅のうち多くにおいて滞在人口(人出)が大きく減少した4月及び5月は、それぞれ前年より16.4%、10.3%の減少に過ぎなかった一方、滞在人口(人出)の減少が小さかったにもかかわらず、7月は前年同月比31.8%減、11月は同30.9%減と大きく減少した。したがって、2年の認知件数は、近年では比較的少ない傾向であったことが認められるものの、多くの主要駅における滞在人口(人出)の減少との関係は確認できなかった。3年の認知件数は、全体で前年より7.0%増加したものの、元年と比べると14.0%低い水準であった。3年の滞在人口(人出)を月別に見ると、多くの主要駅において、1月及び2月は前年同月から大きく減少し、4月及び5月は大きく増加したが、特殊詐欺の認知件数を月別に見ると、1月(前年同月比16.8%減)及び2月(同8.7%減)は他の月よりも少ない傾向が見られた一方で、4月(同7.0%増)及び5月(同1.2%増)は他の月と比べて多い傾向が見られなかった。