4-8-2-2図は、年齢層別の入所受刑者人員及び高齢者率(入所受刑者に占める高齢者の比率をいう。以下この項において同じ。)の推移(最近20年間)を見たものである。
高齢入所受刑者の人員は、平成28年(2,498人)に元年以降で最多となった後、29年以降は2,100人~2,200人台で推移しており、令和3年は2,233人(前年比4.2%増)で、平成14年と比べると約2.0倍に増加している。70歳以上の入所受刑者人員は、同年と比べて約3.6倍と、増加が顕著である。他の年齢層の多くが減少傾向にあることから、高齢者率は、上昇傾向にあり、令和3年は13.8%で、平成14年と比べて10.2pt上昇した。
女性の高齢入所受刑者の人員も、増加傾向にあったが、平成29年(373人)をピークとして、30年以降は290~330人台で推移しており、令和3年は328人(前年比2.4%減)で、平成14年と比べると約4.4倍に増加している。70歳以上の女性の入所受刑者人員は、20年以降に大きく増加し、22年以降は一貫して65~69歳の女性の入所受刑者人員を上回り、25年以降は180~240人台で推移しており、令和3年は236人(前年比3.7%減)で、平成14年の約6.9倍であった。女性の高齢者率も、上昇傾向にあり、令和3年は19.7%で、平成14年と比べて15.3pt上昇している(CD-ROM参照)。
令和3年における入所受刑者の人口比を年齢層別に見ると、20~64歳が20.2であったのに対し、65~69歳は10.9、70歳以上は4.9であった。同年における女性の入所受刑者の人口比を年齢層別に見ると、20~64歳が3.9であったのに対し、65~69歳は2.3、70歳以上は1.4であった(矯正統計年報及び総務省統計局の人口資料による。)。
4-8-2-3図は、令和3年における高齢の入所受刑者の罪名別構成比を男女別に見たものである。罪名別構成比について全高齢者で見ると、窃盗が最も高く、次いで覚醒剤取締法違反、道路交通法違反の順であった。女性高齢者は、男性高齢者と比べて、窃盗の構成比が顕著に高い(女性入所受刑者の罪名別人員の推移については、4-7-2-4図参照)。
平成30年度から、各矯正管区の基幹施設(札幌刑務所、宮城刑務所、府中刑務所、名古屋刑務所、大阪刑務所、広島刑務所、高松刑務所及び福岡刑務所)において、入所受刑者のうち、入所時の年齢が60歳以上の者などに対して、認知症スクリーニング検査を実施し、認知症が疑われると判定された受刑者に対して、医師による診察を実施する取組を行っている。令和元年から実施対象施設に栃木刑務所及び和歌山刑務所が追加され、3年においては、973人に対して検査を実施し、そのうち、医師による診察を受けた者が183人、認知症と診断された者が55人であった(法務省矯正局の資料による。)。