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令和3年版 犯罪白書 第7編/第1章/第4節/2

2 コングレスで採択された基準規則等への関与

我が国は,国連アジア極東犯罪防止研修所UNAFEI)(第2編第6章第5節1項参照)を中心に,コングレスで採択された基準規則等の作成にも関与してきた。第7回コングレスにおいて採択された少年司法運営に関する国連最低基準規則(北京ルールズ)(本章第3節3項参照)の原案は,UNAFEIが作成した。UNAFEIは,その検討・審議に関する専門家会合をホストし,必要な調査・研究を実施するなど,第7回コングレスでの採択の前提となる事前の準備を積極的に推進した。なお,同基準規則は,平成2年(1990年)の第8回コングレスで採択された「少年非行の防止のための国連ガイドライン(リヤド・ガイドライン)」及び「自由を奪われた少年の保護に関する国連規則」等と共に,少年司法の適切な運営に大いに貢献している。

第8回コングレスにおいて採択された非拘禁措置に関する国連最低基準規則(東京ルールズ)(本章第3節4項参照)は,国連事務当局が,同基準規則の起草作業への協力をUNAFEIに求めたことに端を発している。UNAFEIは,昭和62年(1987年)及び昭和63年(1988年)の国際研修等の場を利用して,研修参加者,教官及び客員専門家間で討議を重ねて,同基準規則の土台となる草案を作成した。同草案は,国連内の所定の修正を経て,第8回コングレスに提出・採択され,更に平成2年(1990年)の国連総会決議で採択され,正式に国連の基準規則となった。このときの総会決議は,前文でUNAFEIの貢献に対する謝辞を述べるとともに,同基準規則を「東京ルールズ」と呼称するものと定めている。なお,東京ルールズが目指す非拘禁措置の活用は,刑事施設の過剰収容に悩む国々にとって,その緩和へ向け,拘禁措置に代わる措置にもなり得るものであるとともに,犯罪者の改善更生を促進することに重点を置いた社会内処遇の積極的な活用にも道を開くものであるとされている。