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令和2年版 犯罪白書 第7編/第8章/第3節/2

2 男女別の特徴

女性は,男性よりも,保護処分歴を有する者や入所度数が多い者の割合が低かった。また,女性は,男性よりも,無職の者や有配偶の者の割合が高かった。交際相手・配偶者から覚醒剤を入手していた者は,男性ではほとんどいなかったのに対し,女性では,約2割に及んでいた。

覚醒剤の使用に関し,男女共に,薬物仲間との接触,否定的な感情等が引き金になることが多かった。特に,女性では,自分の体型が気になるときなどに覚醒剤を使用したくなった者の割合が男性よりも顕著に高く,否定的な感情等を表す多くの項目で,覚醒剤を使用したくなった者の割合が男性よりも高かった。男女共に,使用によって本人なりのメリットを得られるとする一方で,身柄の拘束,身近な人間との関係悪化や周囲からの信頼の喪失等をデメリットと感じている者が多かった。特に,女性では,心身の調子の悪化をデメリットと感じている者の割合が男性よりも高かった。再乱用防止のための指導・支援に当たっては,このような男女の特徴も踏まえて働き掛けることの重要性が示唆される。

女性は,小児期逆境体験について,全ての項目で,男性よりも経験率が高かった。また,女性は,男性と比較し,食行動の問題・自傷行為・自殺念慮といった精神医学的問題が顕著に見られ,DV被害の経験率も高かった。女性に対する介入は,多角的かつ慎重に行う必要があることが示唆される。

覚醒剤の断薬努力の経験がある者の割合は男性では7割弱,女性では8割強であるが,覚醒剤の断薬の経験がある者の割合は男女共に8割強であり,いずれについても,仕事や人間関係の安定が断薬のきっかけとなることがうかがえた。また,薬物乱用に関する医療・保健機関及び民間支援団体(以下この節において「関係機関」という。)の利用状況等については,いずれの関係機関についても,女性は,男性よりも,利用経験率が高く,その存在を知らなかった者の割合が低かった。関係機関から受ける支援への良いイメージについても,多くの項目で,男性と比べて女性の割合が高かった。