薬物関係法令の変遷について見ると,大麻取締法,覚醒剤取締法,麻薬取締法,あへん法及び毒劇法については,平成初期までには,規制の対象とされる行為類型や罰則に関する整備がなされた。また,平成3年には,薬物犯罪の取締りに大きな影響を与えた麻薬特例法が制定された。薬物犯罪の取締りや検察・裁判段階における薬物事犯者の処遇に関しては,平成初期までに整備された法律に基づき,安定的に行われてきたものといえる。もっとも,平成20年代に危険ドラッグに係る犯罪が急増したことを受け,医薬品医療機器等法の改正等による取組を強化し,その後,危険ドラッグに係る犯罪が減少していったことは,新興の薬物に関する犯罪に対しては,適切な立法措置を含む対応を早期に執ることの重要性・有効性を示唆している。