覚醒剤取締法違反の起訴率は,平成14年に90%を下回った後緩やかな低下傾向が見られるものの,それでも75%以上の比較的高い水準にある。最近20年間の動きを見ると,起訴猶予率については,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反が,覚醒剤取締法違反と比較して一貫して高く,全部執行猶予率については,同法違反が,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反と比較して一貫して低い。また,全部執行猶予者の保護観察率については,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反はおおむね10%を下回って推移し,覚醒剤取締法違反は10%前後で推移している。令和元年において,一部執行猶予付判決を受けた人員の割合は,同法違反では有期刑(懲役)の者の20%弱であったが,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反では,5%に満たない。
最近20年間の動きを見ると,覚醒剤取締法違反による入所受刑者は,減少傾向にある。同法違反による入所受刑者については,男性では,入所度数が3度以上の者の割合が一貫して高く,女性では,初入者の占める比率が高い。また,男女共に,高齢者を含む40歳以上の者が占める比率が高まっている。
覚醒剤取締法違反による保護観察開始人員については,近年,仮釈放者(全部実刑者)及び保護観察付全部執行猶予者では減少している。その一方,仮釈放者(一部執行猶予者)及び保護観察付一部執行猶予者の保護観察開始人員は,着実に増加している。