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令和2年版 犯罪白書 第7編/第7章/第1節/2

2 国際的な薬物使用の状況

報告書によれば,平成30年(2018年),世界の15歳から64歳までの年齢層のうち,約2億6,900万人(約5.4%)が過去1年に薬物を使用していると推定される。薬物の種類別に見ると,大麻が約1億9,200万人(3.9%),オピオイドが約5,780万人(1.2%),アンフェタミン,メタンフェタミン等が約2,700万人(0.5%),MDMA等が約2,050万人(0.4%),コカインが約1,900万人(0.4%)となっている。

過去1年に薬物を使用したと推定される者約2億6,900万人のうち,約3,560万人が薬物使用障害(薬物使用により日常生活に問題又は障害が生じているにもかかわらず,薬物を使用し続ける状態をいう。)となっていることが推定される。平成29年(2017年)には,薬物使用障害に起因して約16万7,000人が死亡し,そのうち約11万人(約66%)がオピオイド使用障害によるものである。

薬物使用がもたらす健康への影響は,薬物使用障害による死亡だけではなく,汚染された注射針の共用等を通じたC型肝炎ウイルスやHIVへの感染もあるところ,平成30年(2018年)には,世界の15歳から64歳までの年齢層のうち,約1,130万人(約0.23%)が注射器による薬物使用をしていると推定される。平成29年(2017年)には全世界で約58万5,000人が薬物使用に関連して死亡しているところ,その約半数はC型肝炎に関連する肝がん,肝硬変等の慢性肝疾患によるものである。

近年,大麻の非医療的使用を認める動きがあり,令和元年(2019年)12月の時点で,カナダ及びウルグアイのほか,米国の一部の州等で非医療的使用目的の大麻の生産・販売が認められている。なお,平成24年(2012年)から非医療的使用目的の大麻の生産が認められている米国コロラド州では,平成21年(2009年)から平成30年(2018年)にかけて,18歳以上の年齢層の大麻の過去1月経験率が約86%上昇したほか,平成24年(2012年)から平成29年(2017年)にかけて,入院患者に占める大麻関連の入院患者の割合も倍増している。