被害者は,捜査機関に対して被害届を提出するなどして被害を申告することができるほか,検察官又は司法警察員に対して,犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求めて告訴をすることができる。被害の申告及び告訴は,いずれも捜査機関等にとって捜査の端緒となるものであるが,名誉毀損,器物損壊等の親告罪については,告訴が訴訟条件とされており,告訴がなされない場合又は告訴がなされた後に取り消された場合は,検察官は,公訴を提起することができない。親告罪の告訴については,原則として犯人を知った日から6か月の期間を経過したときはこれをすることができないと定められているが,強制わいせつ等の性犯罪については,犯罪によって被った精神的ショックのため短期間では告訴の意思決定が困難な場合があることなどから,平成12年法律第74号による刑事訴訟法の改正(平成12年6月施行。第1編第2章第1節1項(3)及び第5節1項参照)により告訴期間の制限が撤廃され,さらに,告訴するか否かの判断を迫られることなどにより被害者に生じる精神的負担を解消するため,平成29年法律第72号による刑法の改正(29年7月施行。同編第1章第1節16項参照)により非親告罪化がなされた。