平成23年6月,情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年法律第74号)が成立し,一部を除き同年7月に施行された。同法は,サイバー犯罪その他の情報処理の高度化に伴う犯罪及び強制執行を妨害する犯罪の実情に鑑み,情報処理の高度化に伴う犯罪に適切に対処するため,及びサイバー犯罪に関する条約の締結に伴い,処罰規定の整備や電磁的記録に係る記録媒体に関する証拠収集手続の規定の整備等を行い,並びに悪質な強制執行妨害事犯等に適切に対処するために処罰規定の整備等を行うべく刑法等を改正したもので,刑法については,不正指令電磁的記録の作成・提供,供用・供用未遂,取得・保管を処罰する不正指令電磁的記録に関する罪(同法第19章の2)の新設,強制執行妨害行為の処罰対象の拡充や法定刑の引上げ等の改正がなされた(刑事訴訟法の改正については,本編第2章第1節1項(12)参照。サイバー犯罪については,第4編第5章参照)。