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令和元年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/12

12 刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による改正

平成25年6月,刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)が成立し,一部を除き28年6月に施行された。同法は,犯罪者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み,犯罪者が再び犯罪をすることを防ぐために刑法等を改正したものであり,同法によって導入された刑の一部執行猶予制度は,刑期の一部を実刑とするとともに残刑期の執行を猶予することで,社会内における再犯防止や改善更生を促すことを可能とした。すなわち,前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者や前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者等に対して,裁判所が,3年以下の懲役又は禁錮を言い渡す場合に,犯情の軽重及びその犯人の境遇その他の情状を考慮して,再び犯罪をすることを防ぐために必要であり,かつ,相当であると認めるときは,1年以上5年以下の期間,その刑の一部の執行を猶予することができる(その期間中,保護観察に付することもできる。)としたものである。

なお,前記法律と併せて,薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成25年法律第50号)が平成25年6月に成立し,28年6月に施行された。薬物使用等を犯す者は,薬物への親和性が高く,薬物事犯の常習性を有する者が多いと考えられるところ,これらの者の再犯を防ぐためには,刑事施設内における処遇に引き続き,薬物の誘惑があり得る社会内においても,施設内における処遇効果を維持・強化するような処遇を実施する必要があるため,同法は,刑法の特則を定め,薬物使用等の罪を犯した者に対しては,過去5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その刑の一部の執行を猶予することができ,その猶予の期間中,必要的に保護観察に付するとしたものである(薬物犯罪については,第4編第2章参照)。