家庭裁判所の決定により保護観察に付された少年は,原則として20歳に達するまで(その期間が2年に満たない場合には2年間)又は保護観察が解除されるまで,保護観察官又は保護司から,改善更生のために必要な指導監督及び補導援護を受ける(保護観察の概要については,第2編第5章第2節参照)。
なお,家庭裁判所は,少年を保護観察に付する際,非行性の進度がそれほど深くないなど,短期間の保護観察により改善更生を期待できる者について,短期保護観察又は交通短期保護観察が相当である旨の処遇勧告を行い,これらの処遇勧告がなされた場合,保護観察は,この勧告に従って行われる。
児童自立支援施設・児童養護施設送致の決定を受けた少年は,児童福祉法による施設である児童自立支援施設又は児童養護施設に入所措置される。
少年院は,主として,家庭裁判所が少年院送致の決定をした少年を収容し,矯正教育を行う施設であり,平成29年4月1日現在,全国に52庁(分院6庁を含む。)が設置されている。
少年院の管理運営及び在院者の処遇は,昭和23年に制定された少年院法(昭和23年法律第169号)に基づいて行われていたが,平成26年6月,新たな少年院法(平成26年法律第58号)が制定され,従来の年齢区分を撤廃するなど少年院の種類の見直しが図られるとともに,矯正教育課程や不服申立制度等が整備された(27年6月1日施行。同法のうち,実地監査に関する規定及び監査官に対する苦情の申出に関する規定については,同年7月1日施行)。
少年院での収容期間は,原則として20歳に達するまでであるが,少年院の長は,20歳に達した後も,送致の決定のあった日から1年間に限り,収容を継続することができる。在院者は,収容期間の満了により退院するが,家庭裁判所は,一定の場合には,少年院の長の申請により,23歳を超えない期間を定めて,収容を継続する決定をする。さらに,家庭裁判所は,在院者の精神に著しい障害があり,医療に関する専門的知識及び技術を踏まえて矯正教育を継続して行うことが特に必要な場合には,少年院の長の申請により,26歳を超えない期間を定めて,収容を継続する決定を行い,同決定を受けた在院者は,第3種の指定を受けた少年院(本章第4節2項(1)参照)に収容される。
他方,在院者については,生活環境の調整を行い,地方更生保護委員会の決定により,収容期間の満了前に仮退院を許されることがある(生活環境の調整については,第2編第5章第1節2項参照)。この場合,仮退院した後は,収容期間の満了日又は退院の決定があるまで保護観察に付される。