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平成29年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/2

2 家庭裁判所における手続の流れ
(1)家庭裁判所の調査

家庭裁判所は,検察官等から事件の送致等を受けたときは,事件について調査しなければならず,家庭裁判所調査官に命じて必要な調査を行わせることができる。

(2)少年鑑別所の鑑別

家庭裁判所は,審判を行うため必要があるときは,観護措置の決定により,少年を少年鑑別所に送致する。この場合,少年鑑別所は,送致された少年を収容して,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて,鑑別(審判鑑別)を行う(本章第3節3項(1)参照)とともに,必要な観護処遇を行う。少年鑑別所は,平成29年4月1日現在,全国に52庁(分所1庁を含む。)が設置されている。

少年鑑別所の管理運営及び在所者の処遇に関しては,従前,少年鑑別所に関する独立した法律はなく,旧少年院法に数箇条の規定があるのみであったが,平成26年6月,少年鑑別所法(平成26年法律第59号)が制定され,27年6月以降は,同法に基づいて行われている(同月1日施行。同法のうち,実地監査に関する規定及び監査官に対する苦情の申出に関する規定については,同年7月1日施行。本章第3節1項参照)。

(3)家庭裁判所の審判等

家庭裁判所は,調査の結果に基づき,審判不開始又は審判開始の決定をする。

少年及び保護者は,付添人を選任することができるが,弁護士以外の者を選任するには,家庭裁判所の許可を要する。

審判は,非公開で行われるが,家庭裁判所は,一定の重大事件の被害者等から審判の傍聴の申出があった場合,少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは,傍聴を許すことができる。

また,家庭裁判所は,犯罪少年の一定の重大犯罪に係る事件において,その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは,決定をもって,審判に検察官を出席させることができる。家庭裁判所は,この場合において,少年に弁護士である付添人がないときは,弁護士である付添人を付さなければならない。平成26年4月に少年法が改正され(平成26年法律第23号),検察官が少年審判に関与することができる事件及び少年に弁護士である付添人を付すことができる事件の範囲が,それぞれ,死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件まで拡大された(同年6月18日施行)。

なお,家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,少年を家庭裁判所調査官に直接観察させる試験観察に付することができる。

家庭裁判所は,審判の結果,保護処分に付することができず,又はその必要がないと認めるときは,不処分の決定をする。児童福祉法上の措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致する。死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,調査の結果,刑事処分を相当と認めるときは,事件を検察官に送致するが,犯行時16歳以上の少年による一定の重大な事件及び犯行時18歳以上の少年による選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼす連座制に係る事件(第1編第2章第2節参照)については,原則として,事件を検察官に送致しなければならない(いわゆる原則逆送)。これらの場合以外は,保護処分をしなければならず,保護観察,児童自立支援施設・児童養護施設送致(18歳未満の少年に限る。)又は少年院送致(おおむね12歳以上の少年に限る。)のいずれかの決定を行う。

少年,その法定代理人又は付添人は,保護処分の決定に対し,決定に影響を及ぼす法令の違反,重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り,高等裁判所に抗告をすることができる。他方,検察官は,検察官関与の決定があった事件について,非行事実の認定に関し,決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り,高等裁判所に抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。