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平成25年版 犯罪白書 第7編/第2章/第2節/1

1 国際的・越境的な側面のある犯罪の動向
(1)密貿易事犯

ア 関税法違反・外為法違反

密貿易事犯は,金,資本,物資等の国際的な流通に伴って発生する犯罪であり,違法薬物,銃器等のほか,いわゆる偽ブランド品等といった禁制品の輸入等を始めとする関税法違反や無許可の輸出入等を始めとする外為法違反は,その典型の一つである。関税法違反及び外為法違反の検察庁新規受理人員の推移(最近10年間)を見ると,7-2-2-1-1図のとおりである。関税法違反は,平成17年以降は300人台から400人台で推移している。


7-2-2-1-1図 密貿易事犯 検察庁新規受理人員の推移
7-2-2-1-1図 密貿易事犯 検察庁新規受理人員の推移
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イ 覚せい剤の密輸入事犯

覚せい剤事犯の検挙人員は減少傾向にはあるものの,毎年1万人を超える状況が続いており(4-3-1-1図参照),覚せい剤のほとんどは海外で製造され,密輸入されたものであると指摘されている。覚せい剤の密輸入は,覚せい剤取締法違反だけではなく,関税法上の禁制品の輸入にも該当し,例年,関税法違反の中でも大きな割合を占めている。7-2-2-1-2図は,税関が摘発等した覚せい剤(覚せい剤原料を含む。)密輸入事犯について,摘発件数及び押収量の推移(最近10年間)を見たものである。摘発件数及び押収量は,おおむね増加傾向にある。


7-2-2-1-2図 覚せい剤密輸入事犯 摘発件数・押収量の推移
7-2-2-1-2図 覚せい剤密輸入事犯 摘発件数・押収量の推移
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7-2-2-1-3図は,税関が摘発等した覚せい剤(覚せい剤原料を含む。)密輸入事犯における仕出地の地域別構成比(最近5年間)を摘発件数及び押収量の面から見たものである。摘発件数,押収量の両面において,平成21年までは仕出地を東アジアとするものが最も多く(なお,同図<2>の20年における「その他」は仕出地不明等である。),それ以降も,アジアの比率が相応の割合を占めて高い一方で,中南米,欧州及びアフリカの占める割合が上昇し,仕出地の地域が拡散しつつあることがうかがわれる。


7-2-2-1-3図 覚せい剤密輸入事犯における仕出地の構成比の推移
7-2-2-1-3図 覚せい剤密輸入事犯における仕出地の構成比の推移
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なお,警察が検挙した覚せい剤密輸入事犯について,平成24年における検挙件数(120件)による仕出地の内訳を見ると,メキシコ(23件(19.2%))が最も多く,次いで,中国(台湾及び香港等を除く。16件(13.3%)),香港(10件(8.3%)),ケニア(7件(5.8%)),ベルギー(6件(5.0%)),ドイツ(5件(4.2%)),オランダ,カナダ及び米国(各4件(それぞれ3.3%))の順であった(警察庁刑事局の資料による。)。

7-2-2-1-4図は,税関が摘発等した覚せい剤(覚せい剤原料を含む。)密輸入事犯の密輸形態別の摘発件数の推移(最近5年間)を見たものである。航空機旅客等による密輸入が高い比率を占めている。


7-2-2-1-4図 覚せい剤密輸入事犯 密輸形態別摘発件数の推移
7-2-2-1-4図 覚せい剤密輸入事犯 密輸形態別摘発件数の推移
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ウ 拳銃等の密輸入事犯

拳銃等の銃器取引は,暴力団の資金源となっている上,銃器は,凶悪事件や暴力団対立抗争事件にも使用されており,その多くが海外で製造され,密輸入されて国内で流通していると指摘されている。7-2-2-1-5表は,銃刀法違反事件のうち,密輸入事犯に該当する検挙件数及び検挙人員並びにこれに伴って押収された拳銃の丁数(最近10年間)を見たものである。検挙件数,検挙人員及び押収丁数は,いずれもおおむね一桁台で推移しており,密輸入事犯により押収された拳銃は,過去10年間で合計39丁である。一方,国内において押収された真正拳銃は,平成24年だけでも309丁に上っており,そのうち約7割が米国等の外国製の真正拳銃であった(警察庁刑事局の資料による。)。水際の検挙・押収を逃れ,なお相当数の外国製拳銃が海外から日本に流入していることがうかがえる。


7-2-2-1-5表 拳銃等密輸入事犯 検挙状況
7-2-2-1-5表 拳銃等密輸入事犯 検挙状況
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エ 知的財産権侵害事犯

経済のグローバル化やインターネットを通じた売買方法等の普及に伴い,海外で製造されたいわゆる偽ブランド品等が国内に輸入されて広く流通するなど,商標権,著作権等の知的財産権侵害事犯についても,国境を越えた事犯が横行している。

いわゆる偽ブランド事犯等の商標法違反については,最近5年間では,検挙事件数は200件台,検挙人員は300人台から400人台で推移している。平成24年に押収された偽ブランド品は約11万7,000点に上り,そのうち6割以上が中国(台湾及び香港等を除く。)を仕出地とし,また,6割以上がインターネットを利用した販売形態によるものであった。いわゆる海賊版事犯等の著作権法違反の検挙事件数は,最近5年間では100件台で推移しながら微増傾向にある(警察庁生活安全局の資料による。)。

他方,税関における知的財産権侵害物品の輸入差止件数は,平成19年から6年連続で2万件を超え,24年は過去最高の2万6,607件を記録し,輸入差止点数は111万7,592点であった。仕出地別に見ると,同年では中国(台湾及び香港等を除く。)が輸入差止件数の9割以上を占めている。また,同年においては,医薬品,携帯電話等の輸入差止点数が前年から大幅に増加した(財務省関税局の資料による。)。

(2)犯罪インフラ事犯

犯罪を助長し,又は容易にする基盤(犯罪インフラ)に関する犯罪のうち,外国人に係る特有のものとして,<1>地下銀行による不正な送金,<2>偽装結婚,<3>偽装認知,<4>旅券・外国人登録証明書等偽造,<5>不法就労助長等があり,これらの犯罪には,来日外国人のほか,相当数の日本人等が関与している。これらの外国人に係る犯罪インフラ事犯の検挙人員・検挙件数(平成19年以降)は,7-2-2-1-6表のとおりである。


7-2-2-1-6表 犯罪インフラ事犯 検挙人員・検挙件数
7-2-2-1-6表 犯罪インフラ事犯 検挙人員・検挙件数
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地下銀行事犯は,銀行業を営む資格のない者が,報酬を得て国外送金を代行する銀行法違反等の事犯である。外国人が不法就労や犯罪等で得た収益を海外の家族等に送金したり,犯罪組織が犯罪収益等を海外に送金したりする場合にも利用されている。地下銀行事犯の検挙人員は,平成22年以降,30人台で推移している(警察庁刑事局の資料による。)。

偽装結婚事犯は,日本人との間で,婚姻の意思がないのに内容虚偽の婚姻届を市町村に提出し,「日本人の配偶者等」の在留資格を得ようとする電磁的公正証書原本不実記録・同供用等の事犯である。暴力団や悪質ブローカー等の請負組織が介在し,違法な資金獲得手段となっていると指摘されている。偽装結婚事犯の検挙人員は,300人台から500人台で推移している。そのうち日本人以外の者の国籍等を見ると,平成24年では,中国(台湾及び香港等を除く。以下本項(2)において同じ。)が123人と最も多く,次いで,フィリピンの49人であった(警察庁刑事局の資料による。)。

偽装認知事犯は,不法滞在中の外国人女性等が,外国人男性との間に出生した子について,日本人男性を父親とする内容虚偽の認知届等を市町村に提出し,子に日本国籍を取得させ,自らもその養育者として「定住者」等の在留資格を取得しようとする公正証書原本不実記載・同行使等の事犯である。国籍法(昭和25年法律第147号)の改正により,平成21年1月から,出生後に日本人に認知されれば,父母が婚姻していない場合にも日本国籍を取得できるようになったため,これを悪用して在留資格を取得しようとする偽装認知事犯の増加が懸念されたが,22年以降減少している。

旅券・外国人登録証明書等(在留カードを含む。)の偽造事犯の検挙人員は,平成22年から減少している。国籍等別では,24年は,中国が33人と大半を占め,次に多いのがイラン(9人)であった(警察庁刑事局の資料による。)。

不法就労助長事犯は,就労資格のない来日外国人を不法に就労させ,又は不法就労をあっせんするなどの入管法違反,職業安定法違反等の事犯である。安価な労働力の確保を求める各種事業者やこれを仲介して利益を得るブローカーや暴力団の関与が指摘されている。国籍等別の検挙人員では,平成24年は,日本(180人)が過半数を占め,次いで,中国(46人),韓国(36人)の順に多かった(警察庁刑事局の資料による。)。

(3)マネー・ローンダリング事犯

マネー・ローンダリング(資金洗浄)は,犯罪によって得た収益等を,その出所や真の所有者が分からないように仮装・隠匿するなどして,捜査機関等による収益の発見・押収や犯罪の検挙等を免れようとする行為であり,経済・金融のグローバル化に伴い,海外の金融機関等を利用して犯罪収益等を海外に移転させるケースも認められる。我が国では,平成4年の麻薬特例法の施行により,薬物犯罪についてマネー・ローンダリングが初めて犯罪化され,その後,その前提犯罪(不法な収益を生み出す犯罪であって,その収益がマネー・ローンダリング行為の対象となるもの)として,12年の組織的犯罪処罰法の施行により薬物犯罪以外の一定の重大犯罪が,14年施行の同法改正(平成14年法律第67号)によりテロ資金供与罪がそれぞれ追加された。

組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯(犯罪収益等の隠匿,収受等)の検挙件数の推移(平成19年以降)は,7-2-2-1-7図のとおりであり,21年以降,200件台で推移している。そのうち来日外国人によるものは,24年は17件で,全体の7.1%であった。


7-2-2-1-7図 組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯 検挙件数の推移
7-2-2-1-7図 組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯 検挙件数の推移
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マネー・ローンダリング捜査等を有効に行うための方策の一つに,疑わしい取引の届出制度がある。同制度は,金融機関を始めとする一定の事業者が,一定の業務上の取引において,収受した財産が犯罪による収益である疑いがある,又は顧客等がマネー・ローンダリング行為を行っている疑いがあると判断した場合に所管行政庁に届け出ることが義務付けられている制度である。届出に係る情報は,資金情報機関(疑わしい取引の届出情報を一元的に集約し,整理・分析して捜査機関等に提供する機関。FIU)に集約され,整理・分析の上捜査機関等に提供されて捜査に活用されている。同制度は,我が国では,平成4年,麻薬特例法に基づき創設され,薬物犯罪収益に関する疑わしい取引について,金融機関等による各所管行政庁に対する届出が義務付けられた。その後,12年に,組織的犯罪処罰法により,FIUが金融監督庁(後の金融庁)に設置されるとともに,届出対象が薬物犯罪以外の一定の重大犯罪の犯罪収益に係る疑わしい取引にも拡大された。14年には,公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(平成14年法律第67号。テロ資金供与処罰法)の施行に伴い,テロ資金供与に係る疑わしい取引やテロ資金の疑いがある財産に係る取引も届出対象に追加された。さらに,19年に成立した犯罪収益移転防止法により,FIU機能が金融庁から国家公安委員会・警察庁に移管され(同年4月施行),体制が整備・強化されるとともに,届出義務のある特定事業者として,ファイナンスリース事業者,クレジットカード事業者,宅地建物取引業者,宝石・貴金属等取扱事業者等も追加された(20年3月施行)。22年には,資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)の施行に伴う犯罪収益移転防止法の改正(22年4月1日施行)により,為替取引を行う資金移転業者が届出義務のある特定事業者に追加された。なお,23年の同法の改正(平成23年法律第31号。25年4月1日施行)により,電話転送サービス事業者も届出義務のある特定事業者に追加された。捜査機関等は,この制度によってFIUから提供される疑わしい取引に関する情報を活用して各種事件の捜査等を行っている。

特定事業者からの疑わしい取引の届出の受理件数及びFIUから捜査機関等に対する疑わしい取引の届出に関する情報の提供件数の推移(最近10年間)は,7-2-2-1-8図<1>のとおりである。特定事業者からの届出受理件数は,顕著な増加傾向にあり,平成24年は,FIU機能が整備・強化された19年の2倍以上,届出事業者の範囲が大幅に拡充された20年の約1.5倍である。FIUから捜査機関等へ提供された疑わしい取引の届出に関する情報の件数も増加し続けており,24年は19年の約3倍に達した。


7-2-2-1-8図 疑わしい取引の届出の推移
7-2-2-1-8図 疑わしい取引の届出の推移
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捜査において活用された情報数及びそのうち端緒事件(疑わしい取引に関する情報を端緒として検挙した事件)の捜査に活用された情報数の推移(最近5年間)は,7-2-2-1-8図<2>のとおりであり,いずれも増加し続けている。平成24年に捜査に活用された情報数は20年の4.2倍,そのうち端緒事件の捜査に活用された情報数は5.7倍である。

(4)サイバー犯罪

インターネットは,国境を越えた情報ネットワークであり,これを利用したサイバー犯罪(第1編第3章第3節参照)も国境を越えて発生している。7-2-2-1-9図は,不正アクセス行為(不正アクセス禁止法違反)の認知件数の推移(平成19年以降)を,国内・海外のアクセス元別に見たものである。依然として国内からのアクセスが多くを占めているが,24年では,海外をアクセス元とする不正アクセス行為が約1割を占めた。


7-2-2-1-9図 不正アクセス行為 認知件数の推移(国内・海外のアクセス元別)
7-2-2-1-9図 不正アクセス行為 認知件数の推移(国内・海外のアクセス元別)
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独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査によれば,平成24年度中に同機構に情報提供された標的型攻撃メール(情報窃取等を目的として特定の組織に送られるウイルスメール)と思われる不審メールの5割近くが海外のIPアドレスを送信元とするものであり,ウイルスの不正接続先(メールの添付ファイルによって感染させられるウイルス等が不正な送信を試みる接続先)の9割近くが海外のウェブサーバ等であった(IPAの資料による。)。

インターネット等のサイバースペースを利用した犯罪としては,不正アクセス禁止法違反以外にも,詐欺,脅迫,威力業務妨害等の様々な罪名に該当する事案があるが(1-3-3-2表参照),サイバースペースは,匿名性が高く,痕跡が残りにくいといった特性があり,このような特性を悪用し,正規の利用者になりすましたサイバー犯罪の発生も認められる。また,サイバー犯罪は,犯罪が実行された場所と被害が発生した場所,ウェブサーバを含む証拠の所在地が,それぞれ地域的な関連性なく広範囲に拡散していることが多いことに加え,事業者による個人情報の保護等の問題もあり,犯罪者の特定や証拠の収集には相当な時間を要し,とりわけ海外のウェブサーバ等を介した犯行の場合には証拠の収集自体が困難である場合もあるなど,サイバースペースの拡大に伴い,サイバー犯罪の捜査を取り巻く環境はますます厳しくなっているとも指摘されている。その一方で,サイバー犯罪は,地理的・時間的な制約を受けることが少なく,短時間のうちに国境を越えて不特定多数の者に影響を及ぼすことが可能であり,利便性の高い様々なサービスが開発されていく中で,新たな手口によるサイバー犯罪の発生も懸念されている。

(5)国外における日本人の犯罪と犯罪被害

7-2-2-1-10図は,在外公館が邦人援護事務を通じて把握した国外における日本人による犯罪件数の推移(最近10年間)を見たものである。罪名・罪種別では,例年,出入国・査証関係犯罪(不法滞在等の出入国管理関係法令違反のほか,旅券・査証の偽変造等)の占める比率が最も高く,次いで,傷害・暴行,道路交通関係法令違反が高く占める傾向にある。平成24年は,出入国・査証関係犯罪が101件(構成比28.0%),傷害・暴行が46件(同12.7%),道路交通関係法令違反が38件(同10.5%)であった(CD-ROM参照)。


7-2-2-1-10図 国外における日本人の犯罪件数の推移
7-2-2-1-10図 国外における日本人の犯罪件数の推移
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7-2-2-1-11図は,在外公館が邦人援護事務を通じて把握した国外における日本人の犯罪被害件数の推移(最近10年間)を見たものである。平成19年以降は,5,000件台で推移している。罪種別では,例年,窃盗の被害が全体の約8割を占めており,24年は,窃盗が4,456件(構成比81.7%)で最も多く,次いで,詐欺461件(同8.4%),強盗281件(同5.1%)の順であった(CD-ROM参照)。なお,24年における国外での日本人の犯罪被害による死亡者数は20人(前年比6人増),負傷者数は198人(前年比17人増)であった(外務省領事局の資料による。)。


7-2-2-1-11図 国外における日本人の犯罪被害件数の推移
7-2-2-1-11図 国外における日本人の犯罪被害件数の推移
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(6)国内における外国人に対する犯罪

7-2-2-1-12図は,国内における外国人に対する一般刑法犯の認知件数の推移(最近10年間)について,被害等の申告をした外国人の出身地域別に見たものである。外国人に対する一般刑法犯の認知件数は減少傾向にあるものの,平成15年以降の一般刑法犯全体の認知件数の大幅な減少に伴い,これに占める割合はわずかながら上昇している(15年0.9%,24年1.2%)。出身地域別では,例年,アジアが7割以上と最も高い割合を占めている。国籍等別では,15年は,韓国・朝鮮(8,046件(31.0%))が最も多く,次いで中国(7,561件(29.2%))の順であったが,その後,中国が韓国・朝鮮を上回り,24年は,中国(5,911件(34.8%))が最も多く,次いで韓国・朝鮮(3,387件(19.9%))の順であった。また,全体的に減少傾向にある中で,フィリピンは15年以降1,300件台から1,500件台で推移しており,24年は,1,448件(8.5%)と,構成比は15年(5.0%)と比べて3.5pt上昇した。なお,罪名別では,例年,窃盗の被害が8割前後と圧倒的に高い割合を占めている(警察庁の統計による。)。


7-2-2-1-12図 外国人に対する犯罪の認知件数の推移(被害者等の出身地域別)
7-2-2-1-12図 外国人に対する犯罪の認知件数の推移(被害者等の出身地域別)
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外国人に対する犯罪の中でも,人身取引は,国際的な人権問題となっているが,アジアの経済大国である我が国は人身取引の主要な受入れ先になっている旨の指摘もあり,これに対処するため,平成17年に人身売買罪を創設したほか,様々な人身取引被害者保護の施策を実施している。

国及び地方公共団体においては,業務遂行の過程で国内における人身取引被害者を発見・認知するよう積極的な対応に努め,警察,入国管理局,労働基準監督署等においても,違法事犯の取締りの過程で人身取引被害者の発見に努めている。発見された女性の人身取引被害者については,必要に応じ,婦人相談所等が一時保護を行い,又は民間シェルター等に一時保護を委託するなどして,その保護を行っている。また,人身取引被害者が不法残留等の状態にある場合であっても,退去強制手続において,在留特別許可を付与することができることとされている。

このほか,世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う国際機関である国際移住機関(IOM)は,我が国政府からの拠出金を活用しつつ,警察,入国管理局,婦人相談所等と連携し,人身取引被害者に対する帰国支援等の事業を行っている。

関係機関における人身取引被害者に対する保護及び帰国支援等の状況は,7-2-2-1-13表のとおりである。


7-2-2-1-13表 人身取引被害者保護の状況
7-2-2-1-13表 人身取引被害者保護の状況
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