グローバル化の進展に対応した刑事政策の在り方を模索するに当たり,グローバル化が犯罪の形態に及ぼす影響を考えると,例えば,犯行場所,犯罪者や被害者・関係者等の国籍や所在地,犯行手段におけるサイバースペースの利用等,犯罪収益の移動等の様々な面で国際的な要素が帯びることが多くなり,犯罪者の特定,検挙や証拠収集等の刑事手続の場面で対処すべき課題となっている。また,グローバル化に伴う社会の構成員の多国籍化の視点から見ると,外国人犯罪者の適切な処遇の観点からの考慮も必要となる。これらの視点を踏まえ,まず,犯罪の性質上,国際的・越境的な側面を帯び,又は帯びやすい犯罪の動向,次いで,外国人犯罪者の動向を概観する。