保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対する処遇は,基本的に,特定暴力対象者に対する処遇,性犯罪者処遇プログラム,覚せい剤事犯者処遇プログラム,飲酒運転防止プログラム及び中間処遇制度を除き,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者についてと同様である(第2編第5章第2節2項参照)が,以下のような取組も行っている。
なお, 3-1-5-6表は,保護観察処分少年(交通短期保護観察の対象者を含む。)及び少年院仮退院者について,平成22年末現在の類型別処遇制度に基づく主要な類型の認定状況を見たものである。
殺人等の凶悪重大な事件を起こした保護観察処分少年及び少年院仮退院者は,資質の問題が大きく,家族関係等にも複雑かつ深刻な問題を抱えていることが多いため,段階別処遇において最上位の段階に編入し,保護観察官の関与を深め,社会適応力をかん養するほか,被害者等の意向も踏まえ謝罪にも努めさせている。
暴力的性向を有する保護観察処分少年及び少年院仮退院者については,暴力防止プログラムによる指導を受けることを生活行動指針として設定している。
保護観察処遇では,主として少年の保護観察対象者を対象として,福祉施設における介護,公園清掃等の奉仕活動,陶芸教室・料理教室等での学習,農作業,スポーツ活動,レクリエーション活動等に参加させ,対象者の社会性をはぐくみ,社会適応能力を向上させることに努めている。平成22年度における社会参加活動の実施回数は369回であり,実施回数が多かった活動は,「高齢者等に対する介護・奉仕活動への参加」(114回),「清掃・環境美化活動への参加」(112回),「創作・体験活動・各種講習等への参加」(78回)であった。その参加人数は,保護観察対象者が延べ1,108人,その家族等が延べ195人であった(法務省保護局の資料による。)。
なお,平成23年4月から,保護観察の処遇において社会貢献活動の活用が開始された(第7編第5章4項(3)ウ参照)。
保護観察所においては,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護者に対し,少年が20歳に達するまでの間,少年の生活実態等を把握して適切にその監護に当たるべきことや,少年の改善更生を妨げていると認められる保護者の行状を改めるべきことなどについて指導又は助言を行うほか,保護者会を開催するなどして,少年の非行に関連する問題の解消に資する情報の提供等を行っている(第7編第5章2項(3)ウ参照)。
少年の保護観察対象者についても計画的な就労支援が実施されているが,その一環として,平成19年10月から,農業に就く意思のある少年院仮退院者等を宿泊させて,指導監督や農業実習を通じた就労支援を行うことを目的とした沼田町就業支援センターが運営されている(第7編第5章3項(3)イ参照)。